必見必食! ときめきグルメ 観音寺市

築200年の古民家で絶品の豆腐料理を!「天水分」

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観音寺市に2019年12月にオープンした「天水分(あめのみくまり)」。築200年の古民家をリノベーションした日本料理店です。アートや日本庭園などに囲まれた美しい空間で、できたての豆腐や、地元食材による料理が味わえます。

豊稔池堰堤ゆかりの日本料理店

(写真:香川旅帖「豊稔池堰堤」)
 
香川県西部にある観音寺市。「天空の鳥居」と呼ばれる絶景・高屋神社や、第66番札所 巨鼇山 千手院 雲辺寺(きょごうざん せんじゅいん うんぺんじ)など、多くの見どころがあります。
 
この観音寺市で人気のスポットのひとつが、豊稔池堰堤(ほうねんいけえんてい)。1929年に竣工した石積みのダムです。「マルチプルアーチ式」という珍しい様式で建てられた重要文化財で、四季のフォトジェニックな景観が魅力です。
 
「天水分」は、この豊稔池堰堤の築造に尽力した加地茂治郎氏(かじ・もじろう、1869~1940年)の生家を改装したお店。
 
豊稔池堰堤の詳細はこちら

築200年の古民家を改装

大野原ICから国道11号線に降りて、少し車で行った先にある「天水分」。
 
この家が建てられたのは、200年以上前。そこから改築・増築が繰り返され、現在の姿になったとのことです。
もみ殻選別に使う木製の唐箕(とうみ)など、昔の農業用の道具が玄関口の近くや庭に飾られており、時代を感じさせます。
 
 

座敷、カウンター席に個室も!

中に入ると、水墨画が描かれた襖(ふすま)、欄間(らんま)など、日本の伝統的な美しさを感じさせる空間が出迎えてくれます。
(写真:天水分)
掛け軸や生け花なども飾られており、思わず足を止めて眺めたくなります。掛け軸などの多くは、古くからこの家に受け継がれてきたものだとか。
こちらはカウンター席。窓ガラスの向こうに広がるのは、豊稔池堰堤をイメージした「豊稔庭」。一人で緑を楽しんでもよし、友人と並んで腰かけてもよし。ロマンチックな雰囲気に、カップルで座れば仲が深まるかもしれません。
こちらはテーブル席。畳、障子に囲まれた座敷に、シックな木製のテーブルが並べられています。
座敷には、掛け軸、焼き物などが多く置かれています。日本の伝統的な文物に囲まれ、部屋にいるだけで気分が落ち着きそうです。
テーブル席から廊下を隔てた向こうは、日本庭園になっています。美しい緑が、優しく目に映えます。
こちらはソファー席。落ち着いた色のソファーが、日本間に見事にマッチしています。
こちらは個室。8人用の小さな部屋はスタイリッシュな雰囲気にあふれており、大切な仕事の会食や、家族のお祝いなどに使うのもオススメです。
 
窓から見える「豊稔庭」は、カウンター席からの景観とは異なった趣。壁紙などにもこだわり、高級感あふれる空間となっています。
 

できたて豆腐が楽しめる!「天水分」のオススメ料理

「天水分」の大きな特徴は、その場でできたばかりの豆腐を食べられること。
豆腐は、国産大豆からつくった豆乳ににがりを加えた状態で提供されます。そこから火を入れると、湯気が上り、ほのかに豆乳のよい香りが漂ってきます。
できたての温かい豆腐は、高級プリンのような柔らかな弾力と、かすかな甘さを感じさせます。味付けには塩ともろみが付いてきますが、そのまま食べても十分のおいしさ。
 
「天水分」では、できたて豆腐を中心に、さまざまな料理を楽しめます。
ランチメニューのオススメは、「天水分御膳」(税別1,480円)。できたて豆腐をメインに、刺身や季節のおばんざいを楽しめます。
 
野菜や刺身の上品な味わいに、食べているとどこか心が落ち着いてくるよう。もちもちとしたお米の炊き具合や、ほどよい塩味の効いたみそ汁も素晴らしく、食べ終わるのが惜しくさえ感じます。
(写真:天水分)
 
豆腐をもっと味わいたい人には、「豆腐料理の竹籠弁当」(税別1,280円)がオススメ。手作り豆腐(小鉢盛り)、地元産の味噌を使った薄揚げの井筒味噌田楽、季節のおばんざいなどを味わうことができます。
(写真:天水分)
 
地産地消にもこだわりの強い「天水分」。香川県のブランド畜産物であるオリーブ牛やオリーブ豚、また瀬戸内海産の魚を使った料理も楽しめます。
(写真:天水分)
 
夜は、手作り豆腐とオリーブ牛やオリーブ豚のしゃぶしゃぶのコースもオススメです。
 
新型コロナウイルスの影響も踏まえ、「天水分」は2020年11月現在、ランチを中心に、夜は予約制で営業しています。夜は店長厳選のおいしい日本酒も楽しめます。その時々で店長オススメの銘柄があるので、お店でぜひ聞いてみてください。
 

加地茂治郎氏ゆかりの人が訪ねてくることも

 
「天水分」とは、もともと水の神様の名前です。この店名は、加地茂治郎氏が、豊稔池堰堤のすぐそばに建立された「豊稔池碑」に名前が記され、祀られていることに由来するとのこと。
 
「天水分」がある観音寺の大野原町周辺では、20世紀前半、大干ばつが発生。人々は飲み水にも事欠くような窮状に見舞われました。
 
こうした中、同地の耕地整理の組合長を担っていた加地茂治郎氏は、豊稔池のダム建造に奔走。藍や砂糖の商いで得た私財を投じたほか、政治家への働き掛けや、地元の取りまとめに尽力しました。
 
ダム建造では、地元の受益農家たちが自ら工事を担いました。約3年8カ月という短期間で完成したことを見ても、このダムがどれだけ地元の方々に熱望されていたかが感じられます。
 

料理を志したきっかけは海外

もっとも、加地家にはもともと、料理や食と直接の接点がありませんでした。「天水分」が誕生した背景には、茂治郎氏の玄孫で、現在の店長となる加地浩也さんの想いがあります。
 
浩也さんが料理に関心を抱いたきっかけは、大学卒業後に参加した、ニュージーランドとオーストラリアでのワーキングホリデー。
 
当初、ほとんど英語がしゃべれなかった浩也さん。異国で友達をつくるきっかけとなったのは、お酒や料理を通じた交流の場でした。
 
「言葉が通じなくても、食には人をつなぐ力がある」
 
そう確信した浩也さんは、帰国後、大阪へ日本料理の修行に。そして2019年、愛する観音寺の地に戻ってきて、「天水分」をオープンしたということです。
 
「天水分」のメインメニューに豆腐を選んだのも、こうした背景があります。
 
豆腐づくりには、きれいな水が必要です。そのため、地域に水の恵みをもたらした茂治郎氏の象徴としてふさわしいと考えたことがひとつ。
 
さらに近年は、世界的にヴィーガン・ベジタリアンや、健康食への関心が高まっています。こうした中、海外でも人気の豆腐をメインメニューとすることで、日本人、外国の人のどちらにも喜んでもらえる店を目指しているとのことです。

ギャラリーも併設

(写真:2020年10~11月に開催されていた水墨画家・薩摩百倍の個展)
 
「天水分」には、小さいギャラリーが併設されています。今後、このスペースを使いながら、産直市をやったり、地域のアーティストの活躍の場をつくったり。浩也さんには、そんな夢も膨らみます。
 
多くの農地を潤すダムを造った立役者の子孫が、今度は料理を通して、人々の心を潤そうとしている。香川の片隅にひっそりと佇む料理店を訪れたら、そんなストーリーを感じるかもしれません。
 
「天水分」は開店以来、ランチは特に人気で、満席になる日も少なくありません。ご来店の際は、事前予約がオススメです。
 
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天水分
 
営業時間 11:30~14:30 / 17:30~23:00
定休日  月曜日(月曜日が祝日の場合は翌火曜日)
住所   香川県観音寺市大野原町大野原5016
電話番号 0875-23-6604
https://amenomikumari.com/

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