オンリーワンな宿に泊まりたい! 三豊市

築150年以上の建物で極上のくつろぎを!父母ヶ浜近くの宿「多喜屋」

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「日本のウユニ塩湖」と言われる絶景、父母ヶ浜。その近くには、江戸時代に港町として栄えた仁尾の町並みがあります。ここに2020年に誕生した「仁尾縁 多喜屋(におよすが たきや)」は、香川、そして仁尾の魅力と歴史を味わえる一棟貸しの宿です。

三豊市仁尾町にある宿「多喜屋」とは?

夕日の絶景として人気の三豊市の父母ヶ浜。仁尾の町並みには、そこから徒歩15分ほどで行けます。
(写真:香川旅帖「暮らしを醸す。 蔵めぐり」)
 
戦国時代には讃岐守護細川頼弘の城下町として、江戸時代には塩や米の積み出し港として栄えた仁尾の町。今も、多くのお寺や、古い建物がたくさん残っています。

【参考記事】
暮らしを醸す。 蔵めぐり
こんな歴史的町並みの中に、2020年11月に誕生した「仁尾縁(におよすが) 多喜屋」(以下、多喜屋)。
 
1860年ごろに建てられたと考えられる商家をリノベーションした、一棟貸しの宿です。
150年以上の風雪に耐えてきた建物は、時が止まったような静かな空気に満ちています。日常の慌ただしさから離れ、家族水入らずの休暇や、友だち同士の気の置けない時間を過ごすのにぴったりだと思いました。
 
また、古い建築様式を生かし、環境にも細かい配慮が行き届いた「多喜屋」は、建築好きや、日本文化に興味のある外国人の方にも喜ばれるでしょう。
 
「多喜屋」の注目ポイントを見せてもらいました。

昔の建築様式が生きる「多喜屋」入り口

「多喜屋」は、仁尾町文化会館の近くにあります。指定の住所までやってくると、このような「表店(おもてだな)」があり、まずここでチェックインします。
多喜屋は表店の奥に位置しています。「多喜屋」に続く道には、手水や敷石が並べられ、和の風情が漂います。この敷石、古民家の解体時に出た石を再利用したとのこと。
玄関や庭に植えられているエノキ、アキニレ、ヤマツツジ、シャシャンボなどの樹木は、地域の在来種。遺伝子レベルで生物多様性の保全のための配慮ということです。
 
「多喜屋」2階部分は、「なまこ壁」が使われています。
 
なまこ壁とは、風雨から壁を守るため、漆喰を使って瓦を壁に埋め込み補強したもの。瀬戸内海周辺では岡山県の倉敷の土蔵群や広島県の西条酒蔵通りの酒蔵などで、その他では静岡県の松崎市や下田市でも使われている外壁の工法として有名です。
外壁の多くには、焼杉を使用。杉板を焼き焦がした焼杉は、潮風への耐久性も高いため、この地域では伝統的に使われてきました。黒く光る壁面は、独特の風格を漂わせます。
玄関ポーチと玄関の床に敷き詰められているのは、この建物の外壁にかつて使われていたなまこ壁の瓦とのこと。

国産材を積極活用!1階の居間

では、中を見てみましょう。
こちらは居間。障子とふすまに囲まれて、ソファーと木のテーブルが。和洋のコラボレーションが、心地よい空間を創り出しています。
居間に掲げられた、和紙を使ったアート作品。これは、香川のアーティスト・森田真由美氏が「多喜屋」のために制作した「大地の詩」。和紙を含む素材を生み出してくれる、自然への感謝の気持ちを表現したものだとか。
ウッドデッキに使われているのは、宮崎県産の飫肥杉(おびすぎ)です。飫肥杉は昔、船によく使用されていた木材とのこと。
こちらは流し。お湯を沸かして、コーヒーやお茶を入れたりできます。また、香川の作家による茶器や、伝統工芸・香川漆器のお椀やお箸も使えます。
こちらは洗面所。木のいい香りが漂ってきそうですね。
 
居間の床板や流し、洗面所などには、香川県産を含む国産木材が使われています。外国の木材の輸送には多大なエネルギーが費やされ、CO2が排出される点を意識し、「多喜屋」では材料にもこだわっているのだとか。

リラックスに最適!躙り口をくぐって畳の間と寝室へ

続いて2階を見てみましょう!
階段を上って右手には、畳の間が。この入り口は、茶室の「躙り口(にじりぐち)」のように低くなっています。「多喜屋」の2階は、建物の高さに余裕がないため、このような造りとなったとのことです。
当時の梁が残る畳の間。少し天井が低めの空間は、ゴロゴロしながらリラックスするのに最適です。
畳の間の隣にある寝室。ベッドが2つ並ぶほの暗い空間は、やすらかな雰囲気に満ちています。
シーツに使われているのは、「保多織(ぼたおり)」。江戸時代からつくられてきた香川の伝統工芸で、特殊な織り方による肌ざわりや通気・吸水性の良さが特徴です。このベッドに入るだけで、安らかな夢の世界へ誘い込まれそう。
 
「多喜屋」では、「保多織」を使ったファッションブランド「ツムギ」製の部屋着も貸し出しています。
 
なお、マットレスは、イタリアのマニフレックス社製。プラスティックや金属バネを使わず、オーガニックコットン使用に関する「GOTS認証」を取得するなど、環境への姿勢に共感したことから使用されているということです。
寝室をはじめ「多喜屋」のあちこちに設置されているのは、香川ゆかりの世界的彫刻家、イサム・ノグチの代表作「AKARI」。和紙を介したやわらかい光が、癒しの空間を作り出しています。

朝食も提供可能!「多喜屋」の料金は?

(写真:菅組)
 
「多喜屋」には夕食のサービスはありませんが、オプションで朝食は宿泊棟まで配達してもらうことができます。
 
宿泊は基本4人まで(未就学児は含めず)。料金は日によって変動しますが、基本は41,800~51,700円(税込)です。追加料金を払うことで、最大6人まで宿泊可能です。

街並み再生事業「仁尾縁(におよすが)」に込められた想い

「多喜屋」を運営する株式会社菅組は、1909年に仁尾町で創業した建設会社。仁尾町の活性化のため、これまでさまざまな取り組みを行ってきました。
 
「多喜屋」は、この菅組が「仁尾の街並み再生プロジェクト 仁尾縁」の一環として取り組んでいる事業です。
 
「仁尾の街並み再生プロジェクト 仁尾縁」は、イタリアから始まった地域活性化の取り組み「アルベルゴ・ディフーゾ」を念頭に行われています。「分散したホテル」を意味するこの活動は、町全体を宿に見立てることで、観光を促進し、町の再生を図るというもの。
 
「仁尾縁」でも、町中の古民家を再生させながら、観光も含め仁尾らしい街づくりを進めていくとのことです。
 
世界の動きも見据えながら、仁尾町に熱い情熱を注ぐ菅組。今後、父母ヶ浜近くの楽しみがますます増えそうで、ワクワクしますね!
 

「多喜屋」近くは見どころがいっぱい

(写真:香川旅帖「仁尾の町並み」)
 
「多喜屋」の近くには、かつてこの地の城だった「覚城院」をはじめ、昔ながらのパン屋である「伊藤製パン」や、天ぷら(香川県の方言で、すり身を揚げたもの)を販売している「仁尾蒲鉾謹製店」など、多くの見どころがあります。(詳しくは、以下の記事も参照ください。)
 
【参考】香川旅帖「仁尾の町並み」
 
「多喜屋」では、夜の散歩を楽しみたいと思います。
 
日中や夕暮れ時にはにぎやかな父母ヶ浜も、夜には静けさが戻ってきます。古い町並みを抜け、ぶらりと海辺を散歩しながら、瀬戸内海の静かな波音に耳を傾ける……。時代は変わっても、変わらない良さがある。そんな遥かな想いに、心が満たされることでしょう。
 
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仁尾縁 多喜屋
住所   香川県三豊市仁尾町仁尾丁312
電話番号  0875-24-8490
基本料金  41,800~51,700円(税込) ※4人まで。5人以上で利用の場合、要追加料金(最大6人まで)。
https://www.nio-yosuga.jp/
※駐車場は4台分あり
 

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