「香川県庁舎東館」の誕生に携わった人々

  • 香川県立ミュージアム神谷宏治資料

    香川県立ミュージアム神谷宏治資料

世界で活躍した日本人建築家・丹下健三氏。20世紀初頭に広まったモダニズム建築をはじめて日本にオリジナルな建造物として竣工して注目を集めます。代表作は「香川県庁舎(東館)」のほかに、「国立代々木競技場」「広島平和記念資料館」「東京都庁舎」などが有名。世界的建築家として活躍している、槇文彦、磯崎新、黒川紀章、谷口吉生などを育成し、日本の建築界に多大な貢献をした人物です。
1950年~1974年の24年間、香川県知事を務めた金子正則氏(左側)。「デザイン知事」と呼ばれ、香川県内のアート志向に大きな影響を与えた人物。空襲によって高松の街が焼失した後、金子氏の希望は民主主義の時代にふさわしい建物をつくることでした。「観光県香川の象徴となる県庁舎を建てたい!」と丹下氏に伝え、1958年5月、「香川県庁舎東館」が竣工しました。
香川県高松市生まれの画家・猪熊弦一郎氏。旧制丸亀中学校を卒業し、金子氏の先輩にあたります。生涯に渡り金子氏のよきアドバイザー的な人物でした。「香川県庁舎東館」の1階ロビーに、壁画「和敬清寂」を作成。テーマは茶の精神を表す「和やかに、相手を敬う」などの意とされています。
「戦後、民主主義の時代に相応しい県庁舎を建てたい!」という理念をもった香川県知事・金子正則氏。当事、その理念をどう実現すればいいのか迷っていました。そんな折、出張で上京した時に、猪熊弦一郎に会い、建築家・丹下健三氏を推薦されます。そして、東京からの帰路、フェリーで2人用キャビンに通され、そこで丹下氏に会います。お互い面識がなかった2人は「東大の丹下先生ですか?」と尋ねたら、「そうです、金子知事さんですか?」と問いかえされて、大笑い!この2人の出会いは、広島出張の帰路、大阪にいた丹下氏を電話でつかまえ、至急香川に行って、金子氏に会うように伝えた、猪熊氏の計らいで実現しました。この出会いから「香川県庁舎」の誕生ストーリーが始まりました。

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