思い出もっと、 とっておき体験 さぬき市

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ここ数年、人気が再来しているサウナですが、香川県さぬき市にはひと味違うサウナがあるのをご存じでしょうか。それは約1300年前に造られたといわれている古代サウナ「から風呂」。入浴方法も温度も、現代のサウナとは全く違う「から風呂」に行ってみました。
「から風呂」がある場所はさぬき市の南部。電車だと、ことでん長尾線の長尾駅で下車し、タクシーで約10分。車だと高松自動車道の高松東ICまたは志度ICから約20分で到着します。「から風呂」は服を着たまま入るため、汗をかいてもいい長そで・長ズボン、タオルを用意して行きましょう。
建物の正面には「から風呂」の由来を記した看板が。「から風呂」は約1300年前の奈良時代に、高僧・行基が地域の人たちの病気を治すために造ったと伝えられています。その効能は、神経痛やリウマチ、肩こり、冷え性、疲労回復等に良いとのこと。ひと昔前まではこのような石風呂が瀬戸内近辺に沢山あったそうですが、今ではすっかり姿を消してしまい、現在、全国で営業しているのはここだけです。 地元の有志が集まった「から風呂保存会」の皆さんにより営業が続けられています。
 
 
入口は建物の左側奥にあります。
入口で入浴料を払って、早速入場。更衣室で持参した服に着替えます。頭にはタオルをまいて頭巾をかぶり、足はワラジ履きに。頭巾は有料、ワラジは無料で貸してもらえます。座布団は下に敷いて、床の熱からお尻を守ってくれます。また指輪やネックレスなどの金属製品やメガネなどは、熱くなって火傷の危険があるので外しておきましょう。
頭巾やワラジは販売もしているので、購入する人も多いようです。商品は地元の方の手作りです。
建物の奥に入ると大きな石室がありました。これが「から風呂」です。石を積んで間を粘土で固めたその姿は、古墳や巨大なピザ釜のよう。使われている石は、香川県の沖にある豊島(てしま)産の豊島石。風呂の構造は幅1.2m、奥行2.7mの石室になっていて、低温の「ぬるい方」と、高温の「あつい方」の2つあります。
石室の前の休憩スペースでは、利用者の皆さんが囲炉裏を囲んで思い思いにくつろいでいました。
いよいよ「から風呂」に入ります。まずは初心者におすすめという「ぬるい方」へ。
中の温度は約120℃。一般のサウナが80から90℃なので、ぬるい方でもかなりの高温です。中の室温の高さはすぐ慣れますが、身体の全方向を囲む石からの輻射熱(ふくしゃねつ)がクセモノ。どんどん身体が温まって汗が滝のように出てきます。
充分温まったところでいったん退室。そんなに長い間入っていないのに、身体中汗だくです。石室の中の灯りは窓から差し込むライトだけで時計もなく、どれだけ中に入っているのか分からなくなるので、自分の体調を考えて少し早めに切り上げるのがポイント。
出た後は、水分を補給して少しの休息。水風呂がないので、体温が落ち着くまで毛布をかぶってゆっくり待つのが基本のスタイル。毛布は無料で貸してくれます。身体が冷えたら再び入室、これを数回繰り返すと身体の芯からポカポカしてきて何とも心地良い状態に。営業日には欠かさず通っている常連さんは、「から風呂」のおかけで風邪知らずだそうです。
 
塩も用意されているので、塩分の補給も忘れずにしておきましょう。
続いて「あつい方」に挑戦。こちらの温度はなんと150℃以上! 扉に近づくだけでかなりの熱を感じます。一般のサウナと違い、湿度が低いのでこの温度でも入っていられるのとのこと。
石室内の高温の壁に肌が触れないよう、また、高温から身を守るため、毛布で身体を包んで入浴します。

 
中は想像以上の熱さ。毛布で身体を覆うのはもちろん、息をするだけで苦しいので、タオルで口元を覆うと少し楽になります。しかしそれもつかの間。結局数分でギブアップしてしまいました。
 
午後3時半になると、ぬるい方の扉が外されて中に薪が積み上げられました。から風呂はこのように石室内で火を焚き、その余熱を利用しています。この風呂焚きは、午前10時と午後3時半の1日2回行われ、焚いた直後の石室を「あつい方」、焚いた後時間が経って温度が下がった石室を「ぬるい方」としています。朝一番のぬるい方は、前日のあつい方の温度が半日経って下がったものなので、休み明けの木曜日の朝はぬるい方がありません。
松葉を使って火がつけられました。つけてすぐは小さめのキャンプファイヤーのようですが…。
あっと言う間に石室内は業火渦巻く登り窯のような状態に。まさに灼熱地獄です。
入口上部からは炎がゴウゴウと吹き出してきます。
炎が落ち着いて熾火(おきび)になったら、保存会の方が長い棒を使って平らにならします。
熾火がキレイにならされました。この時の石室内の温度は200℃近く。炎は収まりましたが、近くに寄ると危険を感じるほどの熱さです。
 
するとそんな熱い石室の中へ、保存会の方が入って行くのでびっくり! これは熾火の上に濡れたムシロを敷くためですが、見ていてハラハラします。
ムシロを敷き終わると水蒸気がモウモウと立ち上ってきます。
さらにムシロの上から塩水をまいていきます。塩水は少しずつ蒸発して、入浴した人の発汗作用を促してくれる効果があり、昔は海から海水を汲んできていたのだそう。
後は入口にフタをして水蒸気を閉じ込め、約1時間おくと「あつい方」の「から風呂」が完成。11時と16時半の焚き立てが一番熱く、その温度は約170℃にもなりますが、この熱さがクセになってこの時間を狙ってやってくるファンもいるそうです。

 
最後にシャワーで汗を流して終了。身体はポカポカ、心も非常にリラックスできて日頃の疲れが吹き飛んでしまいました。帰りには入口通路の野菜や果物をお土産に。新鮮でかなり安いので、多くの方が購入していました。
 
訪れたのは冬でしたが、夏は流した汗がまた格別の爽快さなのだそう。最近ではサウナブームで再注目され、若いお客さんも増えているとの事です。ぜひ「から風呂」を訪れてみてください。
 
※新型コロナウイルス感染症等の影響で営業していない可能性がありますので、詳しくはお問い合わせください。
 
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から風呂(塚原のから風呂)
営業時間 12:00-21:00
定休日  月・火・水曜、年末年始(年末年始休業は年度によって変更あり)
住  所 香川県さぬき市昭和1050-4
電話番号 0879-52-1202
https://karaburo0.webnode.jp/
 
入浴料     500円、頭巾レンタル料100円
※鍵のかかるロッカーはありません。貴重品の取り扱いにご注意ください。

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