必見必食! ときめきグルメ 丸亀市

こだわりのクラフトビール

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近年耳にすることの多い「クラフトビール」。大手メーカーが手がけるビールや酒造メーカーなどでつくられる地ビールなどと区別して、主に小規模な醸造所でつくられるビールのことを指します。その地域で採れる原料を用いたり、スパイスやハーブを入れて風味を付けたりするなど、こだわりを持って作られているオリジナリティあふれるビールが多いのも特徴です。
香川県にもクラフトビールの醸造所がいくつかあり、その中でも、醸造したビールをすぐ横の店舗で新鮮なまま飲めるビアパブがあると聞き、行ってみることにしました。
今回訪ねたのは丸亀市にある「MIROC BEER(ミロクビール)」。
JR丸亀駅から北東に歩くこと10分余り。港にほど近い住宅街の中にあるお店です。
もともと鉄工所だったという建物に、「MIROC BEER」のネオンサインが目印。
中に入ると、広々とした空間にカウンターとテーブル席があります。
店内は海外のビアパブのような開放的な雰囲気。
店舗奥には醸造用のタンクが見えます。
さっそく、店主の岩城(いわき)さんにお話を伺いました。
こちらで飲めるビールは常時9種類で、うち7種類がミロクビールのオリジナル。
残りは愛媛県・梅錦山川の梅錦ビール各種と、イギリスのクラフトビールメーカー「ソーンブリッジ」のビール各種を時期ごとに種類をかえて提供しているそうです。
最初にいただいたのは「ブリティッシュエール」。「ブリティッシュ」と名の付く通り、イギリス発祥のペールエールという種類のこちらのビール。麦芽の風味がやさしく香る飲み口です。
 "エール"とはエール酵母で発酵させるビールのことで、フルーティーな香りと深みのあるビールが多いという特徴があります。日本でつくられるクラフトビールは、この"エール"が主流。醸造所ごとに、個性ある風味や香りを楽しむことができます。

続いていただいた「阿字観(あじかん)」は、ホップが持つ香りと苦味に、麦芽のコクが調和したラガービール。
先ほどの"エール"に対し、大手飲料メーカーなどが手がける日本で一般的なビールです。ラガー酵母で発酵させるビールのことで、すっきりと飲みやすく、喉ごしがいいのが特徴です。


次にいただいたのは「レモンレター」。香川県内の有機農家から仕入れているレモンがアクセントとなったセゾンビールというエールの一種です。セゾンビールは、ベルギー発祥で、農家が夏の農作業中に喉を潤すために冬から春先につくっていたのが始まりと言われ、スパイスを加えるなどして、長期保存を行っていたため、独特の風味を持っています。
岩城さんが「何にでも合う万能ビール!」と太鼓判を押す通り、レモンの爽やかな香りが特徴の飲みやすいビールでした。

続いていただいたのは「ニルヴァーナ」。
ローストモルト(麦芽)で香ばしく、スムースな口当たりが特徴のビールでこちらもエールの一種。
カラメルのような甘い香りとコクを感じるビールで、チョコレートなど甘いものとも合いそうだと感じました。

また、今回の取材時には残念ながら売り切れていましたが、岩城さんの一番のおすすめは「旋風(UDON IPA)」。なんとうどんからできたIPA(インディア・ペール・エール、18世紀末にインドがイギリスの植民地だった時代に、そこに滞在するイギリス人にペール・エールを送るために、長期間の輸送に耐えるよう防腐効果の高いホップを大量に使って造られた香りと苦みの強いビール)なのです!

通常、ビールの原料となるのは"麦芽"といわれる、大麦を発芽させたものとホップ。「旋風」では麦芽のかわりに、三豊市にある「本格手打ちうどん もり」から提供された茹でうどんをペースト状にしたものを原料としています。
うどんの麺に豊富に含まれるたんぱく質によって、口当たりがふくよかでマイルドな味わいに仕上がるんだそうです。

それぞれに全く異なる香りや味わいを持つ「MIROC BEER」のビール。
「自分好みのものを教えてほしい」とか「ビールのことをもっと知りたい」という場合には、岩城さんが相談に乗ってくれます。「ビール初心者でもOK!気軽に声をかけてみて」とのこと。
仲間どうしで楽しく飲むのもよし、カウンターで独りゆっくり飲むもよし。
近隣の有機農家から仕入れる野菜でつくるフードや西讃を中心に卸を行っているチーズ専門店のチーズなどサイドメニューもあり、思い思いの過ごし方ができます。
ビールづくりを始める前は造船業に従事していたという岩城さん。お酒が好きで丸亀市にある伝説的なバー「サイレンスバー」に通っていたのだそう。世界中のウィスキーやビールに触れ、マスターからお酒に対する考え方を学ぶうちに「自分自身でもお店を開いてみたい」という気持ちが強くなったのだとか。「20代のうちにやりたいことに取り組もう」と一念発起し、3年ほど各地で修行をしたのち2018年に「MIROC BEER」を開業。

実は当初はウィスキーが中心のバーを開くつもりだったそう。しかしビールの持つ5,000年以上の醸造の歴史、世界各地で個性豊かな種類がつくられているという多様性に惹かれ、多くの人が気軽に飲めることもありビールづくりに興味が湧いてきたと言います。

開業を志した当初は、香川県にはクラフトビールを生で飲めるお店はほかになかったそう。
開業によって、こだわりのビールを自分の手でつくり出来立てのおいしさを新鮮なまま味わってもらう、という夢が一つ叶いました。
ビールづくりの醍醐味は「これは失敗かなと思っていたものを寝かせるとおいしくなったり、狙い通りの味わいをつくり出すことができたりしたとき」なのだそう。

今回、特別に醸造の現場を見せていただきました。
酵母は生きものなので、新しいビールを仕込むときはつきっきりで管理する必要があるといいます。

まずは大きな樽で麦芽をお湯に入れ、酵素のはたらきを活かして麦汁を製造。
麦汁ができあがったら煮沸しながらホップを加えます。ホップを入れるタイミングで香りや苦味のバランスを調整するのだそう。ホップには、香りづけ・苦味づけのほかに、防腐性や泡持ちをよくする働きもあります。
最後に不要なたんぱく質やホップかすが入らないように麦汁を取り出し、一番奥の大きなタンクで急冷。
酵母を入れて発酵を促し、適宜熟成をしたら完成です。
発酵の度合いやホップや副原料を入れるタイミングなど、つくり手の感性が最終的なビールの風味を決めていくのです。
ヨーロッパの伝統的なビールのスタイルにレモンやうどんなど香川県らしい副原料を取り入れている岩城さん。「世界品質のビールをつくって地域の人に喜んでもらいたいし、このビールをきっかけに香川県を訪ねてきてくれる人が増えたらいいな」と笑顔で語ってくださいました。

店頭では瓶ビールやグッズなどを購入することもできます。
個性豊かなビールはお土産に喜ばれること間違いなし。
 

クラフトビールの奥深さと面白さに触れることができる「MIROC BEER」。
友人を誘って、またゆっくり訪ねてみたいと感じました。

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MIROC BEER
営業時間 14:00 ~ 22:00(フードラストオーダー 21:00/ドリンクラストオーダー 21:30)
定休日  月曜日
住所   香川県丸亀市北平山町2-5-15
電話番号 0877-43-7067
https://www.miroc-beer.com/

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