さぬきのてづくり 高松市

讃岐かがり手まり

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美しい幾何学模様の讃岐かがり手まりは香川県の名産品のひとつです。乙女心をくすぐるかわいい手まりを求めて、「讃岐かがり手まり保存会」を訪れてみました。
琴電瓦町駅を下車して歩くこと5分。駅から南下して観光通りを東に曲がった後、「ホテルNo.1」の北側に青い門が目印の「讃岐かがり手まり保存会」があります。
建物は元塩上幼稚園の園舎をそのまま使っています。
出迎えてくれた代表の荒木永子さんとスタッフの溝渕友恵さんにお話を伺いました。
「嫁ぎ先の義母が手まりを作っていたので、それを手伝っているうちに自然と手まりづくりにのめり込んでいきました」という代表の荒木さん。もともと彫金を学んでいたということもあって、細かい手作業はお手のもの。
 
「江戸時代はお姫様の玩具として手まりがつくられていました。昔、香川県ではどの家にも手まりがあったといわれています。しかし、ゴムまりが海外から入ってきたことで、手づくりの手まりは消滅しそうだったんです。そこで民芸品に造詣の深かった義父が各地を回り手まりの技法や草木染めを学びました。」と、荒木さん。
お義父さまの荒木数雄さんは、持ち帰った技術を活かしつつ試行錯誤して讃岐のかがり手まりを復元しました。1977年に「讃岐かがり手まり」と命名し、香川県の西に位置する観音寺市で「讃岐かがり手まり保存会」を立ち上げたそうです。
そして1987年には香川県の伝統的工芸品の指定を受け、現在は荒木数雄さんから引き継いで、唯一の指定業者として活動しています。

 

「讃岐かがり手まり」の特徴を伺いました。
1.讃岐の伝統的なかがり手まりの由来を守るため、塩、砂糖と並んで讃岐三白のひとつに数えられた綿でできた糸でつくっていること。
2. 天然の材料(植物など)で糸を染めていること。
3. 手まりの芯はもみ殻を使用すること。
4.手でかがること。
写真は木綿糸の原材料の綿。雨が少なく温暖な香川県の気候は、木綿づくりに最適で、昔は香川県の西の地域では綿屋が栄えていました。現在は香川県産の綿は手に入りにくいそうです。続いて作業工程を見せていただきました。
球体の芯となるもみ殻は、煮沸して殺菌します。
もみ殻を外に干して乾燥させます。右は乾いてきています。素材の準備にも時間をかけます。
 
木綿糸も隣の鍋で火にかけます。これは付着した天然不純物を取りのぞき、染料で染まりやすくするための下処理で、精錬(せいれん)という洗いの作業です。
そして、外に干します。
春らしい桃色は蘇芳(すおう)の色。蘇芳はマメ科の小高木で、その皮で染めると、スモーキーな赤系に染まります。緑色は藍染めした上から刈安(かりやす)というイネ科の草の黄色や、ザクロの色などを重ねて染めて出した色だそう。黄色は玉ねぎの皮で染めたそうです。
染料の濃度や色を掛けあわせる回数などで無数の色が作られています。
グラデーションがきれいです。
工房内には、染色されたかがり糸がずらりと並んでいて、美しさにワクワクしてきます。それぞれに染料の原材料が記入されています。
染料に使う自然の草木や、かがり手まりに使う用具も大量にストックされています。
さて、手まりづくりに取りかかります。まずは先ほどのもみ殻を薄い紙で包みます。
使用するもみ殻は思ったより多い量。それを小さな紙1枚できれいにくるんでいました。
かがり糸より細い木綿糸でランダムに、そしてまんべんなく球体に巻いていきます。
球体ができあがりましたが、ここからまだまだびっしりと糸を巻いてしっかりとした球体に仕上げます。
これが土台の仕上がり。中はもみ殻なので、中はふんわりとやわらかく表面はパリッとしていることも特徴。この写真では、白糸が球体をつくるために巻いた細い糸です。そして黄色い糸は、模様をつくるための地割線という案内線。手まりを等分に分割する地割線をかけています。まりを地球に例えて、北極、南極、赤道を基準にしています。模様によって分割の数も変わります。
ストラップタイプの手まりをつくるための直径2㎝ほどの土台手まりにもしっかり地割線がかけられています。ちょこんとかわいい。でも作業の手間はしっかりかかっています。
荒木さんの作業中の光景です。かがっている幾何学模様は「92面体の交差花」という大作。地割線を目安に糸を行き交わして幾何学模様を挿していくのが、「かがる」という技法です。木綿糸を通した針は土台もすくっていきます。その時に、「サクッ、サクッ」という心地よい音がします。
「かがる時に糸が重ならないように気をつけています」と荒木さん。また、糸をしごかないことで糸の毛羽立ちが抑えられ、仕上がった時に光沢や球体面の美しさに関係するそうです。糸をやさしく操り、ひとさし、ひとさし丁寧にかがっていました。
こちらは讃岐かがり手まりづくりの道具。
元園庭は糸やもみ殻を乾燥させる作業に使用されています。「外観は幼稚園のままなので、ここは何をするところですか?と外から覗く方も多いんです」と荒木さん。
所要時間約90分の体験コースでは、周囲16㎝ほどの土台手まりを使用。簡単な幾何学模様と好きな色のかがり糸を選んで、「讃岐かがり手まり体験」ができます。

作りたいサイズと模様に合わせて、地割線が入った土台手まりと、染色された木綿糸を選びます。同じ模様でも選ぶ色によって仕上がりの雰囲気はがらっと変わるそうです。

手ぶらでOKなので、旅の合間にちょっぴり体験したい、という時にも手軽に挑戦できます。時間内に完成するので、できあがった手まりはお土産にもぴったりです。
「讃岐かがり手まり」や材料も購入できるショップも併設しています。
引き出物にも人気だそう。贈る相手によって色を選ぶのも楽しいですね。
最後に荒木さんがそっと、出してみせてくれたのがこちら。「私は真っ白い讃岐かがり手まりも好きなんです。白といっても、生成(きなり)に近い色も入っていますし、何種類もの白色を使っています」ほんと!!すてきです!!やさしい風合いに、立体感と艶やかさを感じるのは、丁寧な手仕事だからこそ。
「讃岐かがり手まり保存会」の部屋には、サクッ、サクッと心地良いリズムが響き、心穏やかな気分になりました。
 
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讃岐かがり手まり保存会
※体験教室の受講はホームページでご確認ください。電話での問合せも可能です。
営業時間 10:00-17:00(事務所・店舗)
定休日  日曜日・祝日(他、臨時休業あり、ホームページでご確認ください)
住所   香川県高松市観光通2丁目3-16
電話番号 087-880-4029 
所要時間 約90分~
讃岐かがり手まり保存会の公式サイトはこちら

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