さぬきのてづくり

さぬきのてづくり

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香川県の“漆”にふれる
香川県を代表する伝統工芸といえば香川漆芸。江戸時代末期に確立された3つの技法「蒟醤(きんま)存清(ぞんせい)彫漆(ちょうしつ)」をはじめ、これまでに様々な技が花開き受け継がれてきました。日常的に使える器やお箸から至高の美術品まで、その幅広さも香川漆芸の特徴です。今回はそんな香川漆芸に触れることのできるギャラリーやお店を訪ねてみました。

高松市街から南西に車で約30分、綾川町の田畑の中にある古民家が、漆芸家・松本光太氏が立ち上げた「さぬきうるし Sinra」。ショールームまでは、雰囲気満点の林道を歩いて行きます。
松本氏含め3人の作り手から成る「Sinra」では、これまでにない新しい作品を生み出してきました。

例えば、最初に作ったという漆の積み木。幼いうちからから木・漆に触れ、良いものを感じとる感覚を育ててほしいとの想いがあるのだそう。

今回は特別に、制作現場にも潜入(通常は見学不可・ショールームのみ見学可です)。
鮮やかな色合いの漆が並んでいます。

室内の張り詰めたような空気感と漆独特の匂いに、胸がおどります。

人の作業机を見るのって、なんだかわくわくしますよね。
漆特有のなめらかなつやが美しい『Ishiko蓋付小鉢』。

「Sinra」の代表作である『Ishiko』シリーズは、香川県の名産品である花崗岩“庵治石”の石粉を混ぜた漆で塗装したもの。石粉によって表面が補強されるため、金属のカトラリーを使用しても表面に傷がつきにくく、マットな仕上がりなので指紋も目立ちにくいのだそう。
食べものや飲みものにしっくり馴染む色合いも魅力。
無駄なくすっきりしたフォルムと落ち着いた質感が特徴です。

食卓にもすぐに取り入れられそうなシンプルなデザインの漆器は、併設のショールームで実際に手に取ることができます。




若手作家による漆作品を見たり購入したりできるショップは、高松市内にもいくつかあります。

まずは、丸亀町商店街の中にある「まちのシューレ963」へ。
器、食べもの、衣服、日用品などの生活雑貨が揃い、カフェも併設するライフスタイルショップです。
店内奥には香川県の手仕事を紹介するコーナーがあり、香川県の伝統工芸品が展示・販売されています。

ここでしか買えない「Sinra」オリジナルデザインの漆器も取り扱っています。

店内のカフェでは実際に汁椀としてこの器を使っており、ランチの味噌汁が提供されます。

お椀ともカップとも言い難い絶妙な形とサイズ感。ちょっと温かいものを飲みたいときに、とても使い勝手がよさそうです。この器以外にも、お弁当箱やお重など、ハレの日に使ってみたい特別な漆器がそろっています。




続いて向かった「minamo ATELIER&GALLERY SHOP」は「まちのシューレ963」から歩いて12分ほど。商店街の中の本屋や映画館の集まるエリアにある小さなビルの4階にあります。

若手漆作家と写真家のお二人が主宰するギャラリーでは、漆や写真に限らず、県内の若手クリエイターによる様々なジャンルの企画展が開催されていることもあります。

若手作家による漆の作品も常時展示・販売されていて、コーヒーの計量スプーンやコースターなど、思わず手に取りたくなるようなデザインの小物が並んでいます。
波をイメージした色合いのアクセサリーを見ていると、“器”のイメージが強い香川漆芸に対する固定概念が覆されるよう。繊細な模様に心がくすぐられます。
「minamo」では、出展している作家のカップでコーヒーなどのドリンクを飲むこともできます。

手にちょこんとおさまるカラフルなぐい飲みもかわいい。色違いで揃えたくなります。
発表の機会が少ない若手作家の作品を多くの人に手に取ってみてほしい、と話すオーナー。若手作家ならではの試行錯誤のあとも魅力なのだとか。

小物が多く、食卓や生活に今すぐにでも取り入れられそうだと感じました。新作を探しに、また訪ねてみたくなりました。



その後、「IKUNASg(イクナスギャラリー)」へ。「minamo」からは徒歩約13分。自転車の利用も便利です。

「IKUNASg」は、香川県のモノやコトを発信する雑誌『IKUNAS』の発行元が運営する実店舗。過去に雑誌の中で紹介した、香川の伝統工芸品などを販売しています。
「Sinra」の『Ishiko』シリーズのほか、最後に錫を塗装して仕上げたメタリックな酒器も。

漆のピアスやれんげ、スプーン、フォークなどのカトラリーなども揃います。

カラフルな色展開の漆器やカトラリーが特徴です。

さらに少し足を伸ばし、若手作家の漆作品と香川県ならではの味わいのラスクを販売する「瀬戸内ラスク堂+」へも行ってみました。「IKUNASg」からは車で約10分。

香川県伊吹島産のいりこや三豊市産のにんにくなどを使ったラスクが常時数種類ならび、お土産にもぴったりです。

なぜラスク専門店なのに漆作品の販売をしているのかというと、旧友の漆芸家・森安史氏との縁で若手漆芸家たち6名によるユニット「uru6(ウルシックス)」を結成したのが始まりだそう(※現在は解散)。

これからの香川漆芸を担う若い作家たちを応援したい、という志があるのだそうです。

小ぢんまりとした陳列ながら、思わず心惹かれる漆作品が揃います。例えば、整然とした彫り跡と内外で異なる色合いが美しい蕎麦猪口。

こちらは木綿の紐を巻き付けて仕上げたもの。縄文時代から伝わる技法、紐と漆だけで仕上げる「縄胎(じょうたい)」をオマージュしたものです。

紐ならではの細かな手触りが楽しい器。ほかに、内側に麻布を張って仕上げた器もあります。布の織目を美しく仕上げるのに、とても手間がかかるのだとか。
小皿やかんざし、ネックレスなどもあります。
創意工夫を凝らした技巧的な作品が多いように感じました。

漆について何も分からない!という方でも、それぞれに使われている技法や特徴をオーナーに教えてもらえますよ。

今回紹介したショップやギャラリーでは、漆の器やアクセサリーに触れるのは初めて、という初心者でも、気軽にお店めぐりを楽しむことができました。漆について分からないことがあれば、スタッフの方に聞いてみてもOK。
普段の生活に少しずつ香川県の漆を取り入れていきたいと感じる一日でした。



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さぬきうるし Sinra
※ショールームの見学は要予約
住所   香川県綾歌郡綾川町畑田3399
電話番号 087-810-1327

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まちのシューレ963
営業時間 11:00-19:30(物販)/11:30-18:00(L.O.17:30・カフェ・月~木)/11:30-22:00(L.O.21:00・カフェ・金~日)
定休日  第3月(祝日の場合振替有)
住所   香川県高松市丸亀町13-3高松丸亀町参番街東館2F
電話番号 087-800-7888

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minamo ATELIER&GALLERY SHOP
営業時間 12:00-19:00
定休日  水・日
住所   香川県高松市亀井町11-10-4F

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IKUNASg(イクナスギャラリー)
営業時間 11:00-17:00(月~金)/10:00-16:00(土)
定休日  日・祝
住所   香川県高松市花園町2-1-8森ビル3F
電話番号 087-887-6762

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瀬戸内ラスク堂+
営業時間 11:00-19:00(火~土)/11:00-17:00(日)
定休日  月
住所   香川県高松市三条町92-1-1F
電話番号 087-816-3003
 

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