オンリーワンな宿に泊まりたい! 三豊市

醸すのは自分?酒造体験型宿「三豊鶴TOJI」の謎を追え!

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香川県三豊市にある「三豊鶴TOJI」は、廃業となった酒蔵をリノベーションした酒造体験型ゲストハウス。「酒造体験型」といっても、酒造りを体験するのではなく「自分自身を醸(かも)す」場所だとのこと。自分自身を醸すとは一体どういうこと?その謎を探りました!

粟島への港の近く!「三豊鶴TOJI」とは?

瀬戸内海に浮かぶ、香川県三豊市の粟島。瀬戸内国際芸術祭の舞台の一つとして知られるアートの島で、現代アート作品「漂流郵便局」をはじめ、さまざまな見どころがあります。

この粟島への船が出る三豊市詫間町の須田港から歩いて2分の場所にあるのが「三豊鶴TOJI」。
ここは、もともと1877年に創業し、2005年まで日本酒を創り続けていた「三豊鶴」の酒蔵でした。

その建物をリノベーションし、2020年9月に宿としてオープンしたのが、「三豊鶴TOJI」。入り口には、かつて酒造りに使われていた古い木樽や、稲架(はさ)掛けされた稲わらが飾られています。

その一方で、建物の外観には、酒造りをする杜氏(とうじ)のイラストが描かれたガラスが一面に張られており、古い風情とモダンなテイストを兼ね備えた、オシャレな雰囲気が伝わってきます。

では早速、中に入ってみましょう!
 

まるで異世界?旧酒蔵を探検!

「三豊鶴TOJI」に一歩踏み入ると、酒造りに使われていたさまざまな機械が目に入ります。静かにたたずむ古い機器類を見ると、時が止まっているような錯覚を覚えそう。
入り口周辺に置かれているのは、主に近代的な機械ですが、中へ入るにつれ、木製の樽や木桶といった古い道具もたくさん登場します。

染みの付いた壁は、この建物が刻んできた時間を語り掛けてくるよう。中に入るにつれ、空気感が変わってくるのを肌で感じます。
奥に進むと、かつて日本酒の仕込みに使われていたタンクが立ち並ぶ場所があります。

ここは、日の光がほとんど差し込まないエリア。薄暗い空間の中、古びたタンクの間を歩いていると、異世界を探検しているような気分になりました。
通路を抜け、居間に到着。ここはかつて、杜氏たちが酒造りの合間に休憩したり、寝泊りしたりした場所だとか。

ここには、「三豊鶴TOJI」の象徴である鶴の絵が掲げられています。これは、現代アーティスト・小川貴一郎氏の作品。「三豊鶴TOJI」のオープンに合わせて描かれました。
 

自分が酒米になっちゃう?最大の見どころ!醸造大浴場

居間のすぐ隣にある「醸造大浴場」。ここが、「三豊鶴TOJI」の一番の見どころです。

「醸造大浴場」のコンセプトは、「自分が酒米になったつもりで、醸造の過程を疑似体験できる」という点。そう、ここが「自分を醸す」場所なのです。

少し考えてみてください。服を脱いで、シャワーを浴びて、湯船に浸かる……。これって、お酒を造る時の、籾を取る「精米」、米を洗う「洗米」、米を蒸す「蒸米」に、なんとなく似ていないでしょうか?

どことなく似ている酒造りと、入浴の過程……。「三豊鶴TOJI」では、古い酒造り道具を使いながら、「自分を醸す」過程をより楽しめるよう、さまざまな工夫をしています。
こちらは大釜風呂。「三豊鶴TOJI」のメインの湯船で、昔はお酒に使う大量のお米を蒸すのに使われていました。

「三豊鶴TOJI」では、この大釜風呂を楽しむため、大吟醸の酒粕を利用したオリジナルの入浴剤を用意。さらに、入浴剤を混ぜるのに、かつて杜氏が酒母づくりにつかっていた「櫂棒(かいぼう)」を置いています。

酒造りには、水と米麹、乳酸、蒸米、培養した酵母をタンクに入れ、酒造りの必要な微生物「酵母」をつくる「酒母(しゅぼ)づくり」という工程があります。

実は、入浴剤を入れて「櫂棒」で混ぜるのは、この「酒母づくり」をイメージしたもの。
こちらは寝湯。ここは、酒米に水分を吸収させた後、蒸す「蒸米」の過程をイメージしています。

一連の流れは、ぜひ以下の動画で見てみてください。実際に入浴剤を入れた大釜風呂に浸かると、自分がいい感じに「醸された」気分になってきそうです。

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「三豊鶴TOJI」には、家族や友だち同士で楽しんでもらうと同時に、「経営者やクリエイターが新たな発想を得られる場所にしたい」という願いが込められています。

そこで生まれたのが、「酒造りを体験する」ではなく、「自分が酒米になってみる」という逆転の発想。

違う人・モノの立場になって考えてみたり、物事を別の角度から見てみたり、……。非日常な体験する中で、インスピレーションが湧いてきそうですね!
外には、露天風呂もあります。たっぷり酒米体験を楽しんだら、こちらで外の空気に触れながら、入浴を楽しんでみてもよいかもしれません。

日本のお風呂は、訪日旅行客にも人気のコンテンツ。さらに、このようなユニークな仕掛けが楽しめるとあって、外国人の友人を連れて行っても大盛り上がりすること間違いなさそうですね。
 

バーベキューも!中庭でリラックス

居間の隣には、中庭があります。日本酒のケースを再利用して作った椅子が、どことなくユーモラスです。ここは、ちょっとお酒を飲んだり、おしゃべりしたりするにはぴったりの空間。
中庭の奥には、バーベキューが楽しめるスペースが設けられています。天井にはガラス窓が取り付けられているので、雨の日も安心。

「三豊鶴TOJI」では、事前に申し込みをすれば、バーベキュー用具のセットを貸し出してもらえます。近隣の提携スーパーにバーベキュー用の食材を用意してもらうこともできるそうです。
 

「自分を醸す」仕上げは寝室

日本酒も、濃厚な味わいを楽しもうと思ったら熟成させる期間が必要です。そう、お風呂と夕食を楽しんだら、必要なのは睡眠です!

「三豊鶴TOJI」では、合計6人が寝られる二間続きの寝室と、1人用の寝室が設けられています。さらに、居間に4人が眠れるようになっています。

大きな方の寝室は、壁が少し丸みを帯びています。どことなく木桶の中のような雰囲気があり、寝ているとよい感じに「醸され」そう。
1人用の寝室。静かな和室で、こちらも気持ちよく眠れそうですね。
 

「田舎でも夢を描くことができる!」5人が伝えたい想い

(写真:三豊鶴TOJI提供)

「三豊鶴TOJI」は、市内外の5人の事業者の手によって生まれました。

「三豊鶴」は、2005年の廃業以来、ずっと使われていませんでした。そこを2018年、三豊市の地域商社を経営する北川智博さん(写真の左端)が、施設の再利用に関する相談をもちかけられたことから、「三豊鶴TOJI」のプロジェクトはスタートします。

当初はかなり荒れており、片付けるのにも一苦労だったとのこと。それでも、北川さんの呼びかけで集まった4人も、この古い建物の持つ厳かな雰囲気に惚れてリノベーションを進めました。

今回の取材に対応していただいた矢野太一さん(写真の右から2番目)は、その根底には、ひとつの想いがあったと語ります。

「現代の日本では、『田舎にいるのはカッコ悪い』と、地域から多くの若者が出ていっています。でも、この場所をリノベーションすることで、『田舎でも夢を描いたり、カッコいいことをしたりできる』と伝えられれば、若者にとって、希望のある地域が創れるんじゃないかと思いました」。

そんな熱い想いの下、2019年のゴールデンウィークと「瀬戸内国際芸術祭2019」の秋会期の間、まずは期間限定のレストラン「三豊鶴」としてプレオープン。そして2020年9月、宿泊施設「三豊鶴TOJI」として本格的に始動しました。
「三豊鶴TOJI」の中には、酒瓶が並べられたディスプレイがあります。これは、オープン前に実施したクラウドファンディングの支援者の方々のお名前を貼ったものだとか。

150年近くの時を経てきた建物が、地域の人たちに支えられながら新しい時を刻み始めている。そんな温かさを感じられそうです。

イベントスペースにも!

「三豊鶴TOJI」の敷地内には、イベントスペースもあります。ここは、2019年に、レストランとして活用されていた場所。現在は、地域の若者たちがチャレンジするための空間となっています。
(写真:三豊鶴提供。2020年10月に行われた「瀬戸内サーカスファクトリー」の公演)

これまでサーカスの公演や、音楽ライブなど、さまざまなイベントが実施されてきました。今後の三豊鶴でのイベントを知りたい方は、FacebookやInstagramをチェックしてくださいね!
地域の夢を担う「三豊鶴TOJI」。古くて新しいこのスポットで、ぜひ身も心も「醸されて」ください!


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三豊鶴
住所 香川県三豊市詫間町詫間5444
電話番号 080-2976-4641 ※予約受付委託先の「泊rutto」へ繋がります。
基本料金 平日は4人まで50,000円。追加は1人あたり7,000円。金土日や祝日・祝前日は4人まで70,000円。追加は1人あたり9,000円。
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