日本遺産 小豆島町 土庄町

石の島 小豆島

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2020年5月に香川県の丸亀市、土庄町、小豆島町、岡山県の笠岡市がともに文化庁に申請した石のストーリー「知ってる?悠久の時が流れる石の島~海を越え、日本の礎を築いたせとうち備讃諸島~」が日本遺産に認定されました。

「日本遺産」とは地域の歴史的魅力や特色を通じて伝統・文化を語るストーリーを「日本遺産」として文化庁が認定するもののこと。日本各地に存在する、有形無形の文化財をその地域の歴史的ストーリーにからめて広めるべく、2015年より文化庁が開始させた認定制度です。

今回は「日本遺産」に認定された小豆島の歴史が感じられる石のスポットを訪れてみました。
まずは池田港から車で約5分の「池田の桟敷(さじき)」へ。島の良質な石材は島の庶民の生活の中でも、道具や公共スペースの資材として使用され今でもいくつか残っています。
 
「池田の桟敷」は自然の地形を利用し、石を野面積(のづらづみ)にした桟敷です。過去には大阪万博のメイン会場である「お祭り広場」のモデルとなりました。 今でも秋祭りの際には、桟敷に櫓(やぐら)が組まれ、見物席として利用されています。桟敷の前の馬場では、太鼓台のかき比べが行われます。
実は、小豆島の石は大坂城築城の際に石垣として使用された歴史があります。1615年の大坂夏の陣により、焼け落ちたと言われている豊臣秀吉によって築かれた大坂城。

1619年に江戸幕府の2代将軍徳川秀忠は大坂城を再築するため、豊臣大坂城を覆い隠すかのように新しい大坂城の築城を大名たちに命じました。大名たちは石材が良質であったことから、小豆島をはじめ瀬戸内に丁場を拓き、切り出した石は大坂へ運びました。徳川大坂城の石垣は17世紀における世界最大級の石造文化遺産と讃えられています。

石材の切り出しと運搬の様子は、朝鮮通信使によって記録されており、大坂城築城に瀬戸内海とその島々が重要な役割を担っていたことが分かります。

続いては大坂城築城の際に石が切り出された天狗岩丁場へと向かいます。池田の桟敷から車で約30分です。
天狗岩丁場の石碑がある場所が駐車スペースです。
遊歩道の階段を登り始めると、石を割るための矢穴の跡が残った種石が見えます。
さらに登って行くと、石が積み上げられた猪鹿垣(ししがき)が現れました。小豆島内にはいくつかの場所で、今でもこうした猪鹿垣が残っています。かつて江戸時代中期に猪などの害獣から田畑を守るために築かれました。
猪鹿垣の奥を見上げると大きな岩が現れました。高さ17.3m、幅7.8m、奥行き12.3mもある大岩、天狗岩です。石材を切り出すための巨大な種石でした。
側で見るとすごい迫力!
さらに表示に従い、登って行くと、天狗岩の裏側の山にはたくさんの矢穴痕跡や、刻印が残されたままの種石が転がっています。
天狗岩丁場は、福岡藩黒田家の初代当主である黒田筑前守長政と2代目忠之が採石した場所です。○に□の刻印は福岡藩の黒田家の代表刻印で、400年前にかつて黒田家が採石したことを証明しています。黒田家は大坂城完成後も丁場に番人を置き、明治まで残石を監護させたことで、数多くの残石が守られました。
ほかにも様々な刻印が残されているので、表示を見ながら、
石のどこに刻印が彫られているのか探すのも楽しいです。
 
天狗岩丁場は階段が整備されていて、足元は登りやすかったですが、急傾斜があります。今回は、スニーカーで行ったので、安全に見てまわることができました。
 
さて、天狗岩の駐車スペースまで戻り、少し下って浜辺にある天狗岩磯丁場を探します。

 
浜辺にも矢穴や刻印が刻まれた種石が残っています。
海から顔を出しているのはかもめ石。沖側の岩に高さ約50センチの石柱が中央に埋め込まれています。
同志社大学文化遺産情報科学研究センターの調査によると、形状から2つの岩は人工的に置かれたものと判明したようです。
 
周辺には桟橋を渡すために土台として置いたり、積み残したりしたとみられる石が約50個散乱しているのも見つかり、2つの岩が石を積み出す船着き場であったと判断されました。
 
満潮時に船を2つの岩の間に挟み柱に係留した後、干潮時に桟橋を岩まで渡して石材を船まで運び、再び満潮になったときに出航したと推測されています。
 
さらに天狗岩丁場から車で約30分の道の駅・みなとオアシス 大坂城残石記念公園へ。
大坂城残石記念公園には、小豆島の石の歴史が分かる資料館があります。
館内は小豆島の石丁場、残石等に関する写真・古文書等が展示される残石棟、石切丁場で採石する石工が使う用具類等が展示される切出し棟、採石した石を動かす木製人力運搬具等が展示される、運搬棟、石の加工工程・加工用具等が展示される加工棟、石の彫刻等の創作体験学習ができる創作体験棟などに分かれています。
石の切り出しや、運搬、加工法などを分かりやすいイラストとともに学べました。
 
屋外に出ると、復元した農村歌舞伎舞台があります。
 
実存した歌舞伎舞台は香川県屋島にある四国村に移設されました。かつて小豆島には30近くの農村歌舞伎舞台がありました。今でも肥土山と中山にある2つの舞台は残っており、島民による歌舞伎の上演が続いています。
舞台の中には入ることができ、秋祭りの際に小海地区の太鼓台に乗せる歴代の山車(だし)が展示されています。七福神や龍などユニークな形をしているものが多いです。これらの山車は全て地元の方の手作りです。
歌舞伎で使われていた衣装も展示されています。
売店ではお土産物のほか、地元野菜の産直コーナー、惣菜などが並びます。行くたびに季節ごとに変わる地産品を楽しめる場所です。取材時はオリーブの新漬けや干しゲタ(舌平目を干した物)がありました。牛すじカレーやうどん、島レモンのスカッシュなど軽食メニューがあり、イートインすることもできます。
石とともに生きてきた島の人々の暮らしに触れることができ、また、山や浜辺に残されたままの大坂城残石を見ると、大きな歴史の転換点に建築の分野で瀬戸内の石が重要な役割を果たしていたんだと感じました。石を観察しつつ、山歩きや、浜歩きを楽しめ、小豆島の自然の力を感じ取れた気がします。
 
 
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池田の桟敷
住所   香川県小豆郡小豆島町池田1618-3
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天狗岩丁場
住所   香川県小豆郡小豆島町岩谷
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大坂城残石記念公園
営業時間 09:00-17:00(入館は午後4時30分まで)
定休日  12月29日~1月3日
住所   香川県小豆郡土庄町小海甲909-1
電話番号 0879-65-2865
入館料   無料
所要時間 約1時間