知られざる絶景 小豆島町

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小豆島と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?海、オリーブ、そうめん、醤油、アート
…様々なものが出てくると思いますが、実は小豆島は「石の島」でもあることをご存じでし
ょうか。

令和元年5 月 、岡山県 笠岡市、 香川県 丸亀市、小豆島 2 町(土庄町・小豆島町)から構成さ
れている 石の島のストーリー、 「知ってる⁉悠久の時が流れる石の島~海を越え、日本の礎
を築いた、せとうち備讃諸島~」 が日本遺産に認定されました。
江戸時代初期、徳川 大坂城築城の際の石垣を築くため、この島々では多くの良質な花崗岩が
切り出され、海を越えて運ばれていきました。 400 年以上経った今も、まるで時が止まった
かのように石丁場跡が残されています。
今回は「石の島」の魅力に迫るべく、 構成 文化財のひとつである 小豆島の 岩谷地区にある 「天
狗岩丁場」を訪ねてみましたのでご紹介したいと思います。
国道436 号線東海岸線沿いに ある 天狗岩丁場 。道路沿いにあるので見つけやすいです。
車を停めたら、さっそく歩いて進んでみましょう。
天狗岩丁場は歩きやすいように遊歩道が整備されており、およそ 30 分ほどで見て回るこ
とが出来ます。(今回はじっくりと回ったので 1 時間弱かけて歩きました)
 
遊歩道を歩きだすと、さっそく大きな岩 が!
よく見ると、なにやら四角い 穴が いくつも あ いています。これは石を割る際に石工さんが 矢(くさび)を打ち込むために掘った 「矢穴」 と呼ばれるもの 。
一つ一つの矢穴は大人の手がほぼ入ってしまうくらいの大きさ。
まるで機械で開けたかのように きれい な形をした穴ですが 、もちろん当時は ノミと セットウ を使って 全て手作業!
当時の 石工さんの 技術 の高さと苦労は計り知れません。
そして、もう少し進むと 目の前に巨大な岩が見えてきます。天狗岩丁場のシンボルともいえる 「大天狗岩」です。
高さ17.3 m、重さ 1,700t の 大きな岩。これは割られる前の 「 種石 」となるもので、このような 岩からさきほどの矢穴をあけて岩を切り出していたそうです。 それにしてもこの大きさ! なかなか見ることは ありませんね 。
さらに進んでいくと、たくさんの残石が現れます。
よく見ると何か記号のようなものが刻まれている石があることに気づきます。
これは大名の「 刻印 」 というもので、天狗岩丁場では福岡藩当主であった黒田家の刻印が岩に印されています。当時、将軍の命によって築城が始まった大坂城。全国の大名にとっては一大プロジェクトだったことでしょう。 我こそはとこぞって瀬戸内海 の島々 に丁場を開拓し、大坂へと石を運搬していました。 刻印は、自分が献上した石だということを示す大切な印だったわけですね。
藩主の刻印以外に、石工さんのグループ によっても刻印が異なると考えられています。目を凝らしてみると、様々な形の刻印をみつけることが出来ます。これがなかなか 面白く、夢中になって探してしまいました。
さらに進んでいくと、次々と 大きな岩々が 現れます 。
触ったりくぐったりしながら進んでいくと、当時の 岩丁場 にタイムスリップしたかのよう。
 
当時、この岩丁場 では石工や手伝いの者など 黒田家の家臣が働いていました 。
当時の給料は、1 日働いて矢穴一杯分の米だったとか。家族のため、藩主のため、そして徳川家のため、朝から晩まで汗水垂らして働いていた当時の人々の姿が目に浮かびます。
大坂まで運ばれ石垣になった石、割られたが運ばれなかった石、矢穴まで開けたが割られなかった石。それぞれの石を眺めていると、作業の 苦労や奮闘 する様子 がまざまざと見えてくるようです。

ここで一つの 疑問。一体ど のようにして 切り出した岩を大坂まで 運んだ のでしょうか 。
海を経て運んだことは間違いありませんが、どうやって切り出した大きな石を海まで運び出したのか 。
山から岩を海岸まで滑り落とした、干潮のタイミングでいかだ に 乗せた… など諸説 ありますが、これら の 謎を解き明かすべく、現在も調査研究が進められています。
  • (同志社大学による海中遺構調査の様子)

    (同志社大学による海中遺構調査の様子)

まさにロマンを感じる石の島の歴史。
まだまだ解き明かされていないことも多く、これからますます注目を集めていきそうです。
歴史はちょっと苦手…という方でも、ここ天狗岩丁場は冒険気分で散策出来るのではないでしょうか。
見て、触れて、想像してみる 。そんな楽しみ方で 、ぜひ気軽に日本遺産に足を運んで頂けた
らと思います。
 
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大坂城石垣石丁場跡(小豆島石丁場跡)天狗岩丁場
住所:香川県小豆郡小豆島町岩谷
お問合せ先:小豆島町役場 生涯学習課 0879-82-7015
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