香川旅帖 特別編 高松市

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高松市出身のお笑い芸人・脚本家、大熊啓誉(おおくま ひろたか)さん。高校を卒業し上京してからはあまり帰省していなかったという大熊さんですが、ここ数年来は、よく里帰りを兼ねて香川を“再発見”されているそうです。
「地元にいた頃は気にも留めなかった風景が、いまは新鮮なんですよね」。家族ができた今だからこそ、奥さんや子どもに、自分が育った街を見せてあげたい。そんな地元愛あふれるお話を、子どもの頃からのエピソードを交えて語っていただきました。

海と山に囲まれ、街にも近い。香西の街を自転車で駆けめぐった

―大熊さんは高松市中心部から少し西にある高松市香西地区のご出身ですよね。いまは地元を離れているわけですが、大熊さんにとって故郷・香西地区はどんな場所ですか?
 
近所に勝賀山があったり、とにかく自然に恵まれた子ども時代でした。海に近い香西には海水浴場が当時ありました。特に泳げる季節になったら、しょっちゅう友達と海に行っていましたね。

 移動手段はもっぱら自転車。僕らって高松の中心部に行くことを「街に行く」っていうんですよ。香西地区はその中心部とも割と近いので、海で泳いでから「街行くぞ!」って遊びに行っていた記憶があります。

 ―現在も香西地区は市街地にアクセスがよく、住みやすい町として人気がありますね。
 
振り返ると、とても住みやすい町だったと思います。地元の商店街も今以上に活気があったし、休みの日には『歩行者天国』だってあったんですよ。

 ―ご友人たちと海や山、街まで駆けめぐったという情景が、頭に浮かびますね。ご友人たちとは、何か記憶に残るエピソードはありますか?
高松港から対岸に見える女木島(めぎじま)には、よく泊まりがけで釣りに行った記憶があります。高松からフェリーで気軽に行けるんですよね。釣り道具プラスアルファくらいの軽装備で、キャンプをしに行く感覚でよく行きました。
 
魚を釣るつもりで行ったのに全然釣れなくて。袋麺のラーメンが少しだけあったから「みんなで分け合おう」って煮込んだのに…いよいよ取るという瞬間にラーメンを落としてしまい空腹のまま高松に帰ったのを覚えています。しょうもない思い出でいっぱいです(笑)。

春風堂のシュークリームが、子どもの頃から大好き!

―子どもの頃から好きな、地元の名物はありますか?
 
すぐに思い浮かぶのが高松の南新町商店街にある、『春風堂』さんのシュークリームです!
僕があまりに好きすぎて、東京で公演したある舞台で春風堂っていう名前を使わせてもらったこともあります。あるテレビの旅番組で「春風堂」さんが取り上げられてたときには、以前共演した女優さんが「大熊さん、春風堂がテレビに出てましたよ!」って教えてくれたり。東京に春風堂さんの名前を広める一役を担ったと勝手に思っています(笑)。
 

地元にいた頃は気にも留めなかった風景が、いまは新鮮

―多感な少年期を経て、地元を出てからは、ずっと県外ですよね。
 
そうですね。ここ数年は法事や実家での用事などがあって、帰省する頻度が増えました。最近では家族で直島に行ってきました。『木の崎うどん』さんのうどんが美味しくてねえ。ニンニク漬けのオリーブオイルがかかってるんです。このオリーブオイルは美味しかったので買って帰りました。
2020年には小豆島にも行きました。子どもの頃はもっぱら移動手段が自転車だったわけじゃないですか? 今では車も使えるし、いろんなところを回ることができていいですね。香川県はコンパクトにいろんな場所が集まっているので、車があればどこでも行けて便利ですね。
 
 
―まさに地元の再発見ですよね。いまだからこそ、改めて香川に対して思うことは?
 
直島に行って感じたんですけど、もともと僕らにとっては当たり前だった景色など、香川県の良いところを、上手に情報発信されていますよね。帰省するときは奥さんと子どもにできるだけ地元を見せてあげたいから、いろいろと下調べするんですけど、とても探しやすいです。地元にいた頃は気にも留めなかった風景が、改めて行ってみると新鮮で、「こんないいところだったんや!」って気づくことばかりですよ。
 
―ご家族をお連れして、どこか印象に残っている場所はありますか?
思い出深かったのは、小豆島のエンジェルロード! 当時赤ん坊だった子どもを持ち上げている奥さんの姿を見て、絵になるなあ。なんかグッとくるなあ。と感じた記憶が残っています。
 
※エンジェルロード…小豆島の観光名所の1つで、干潮時の海に現れる砂の道。
 

家族と一緒の帰省では、必ずうどんツアー

―香川に帰省されたら、必ずされることはなんですか?
 
お墓参りと、あと家族がいたら、絶対うどんツアーに行きます!
 
―例えば、どんなうどん屋さんへ?

『谷川米穀店』さんや、『長田in香の香』さんとか。『谷川米穀店』さんは、実は今ほどメジャーになる前に、父親と行ったことがあったんですよ。「ここ、うまいなあ」と思っていたら、すっかり人気店になられて。
 
『長田in香の香』さんは釜揚げうどんが有名なお店ですが、うちの奥さんが大好きなんですよ。カレーうどんも大好きで、今度地元にある『はりや』さんのカレーうどんを食べさせてあげたいと思っています。
 
それと、うどんじゃないんですが妹夫婦が紹介してくれたんですが、丸亀に活魚料理の『一徳』さんというお店があります。お料理はもちろん美味しいのですが、ここで使っている刺身醤油がめちゃくちゃ美味しいんですよ!『一徳』さんでしか買えなくて、近くに立ち寄った時にいつも2本くらい買って東京まで持って帰ってます。






 

骨付鳥の『一鶴』は、僕にとって絶対的存在です!

―うどんに醤油に、やっぱり香川の名物が恋しくなるものなんですね。
 
振り返ると、そうですねえ。あと、忘れちゃいけないのが、骨付鳥の『一鶴』さん! 今は香川県内で色んな骨付鳥の専門店が増えてきましたけど、僕にとって『一鶴』さんは絶対的存在です(笑)。

香川県は食の街。旅をするなら、さらに「枝葉」を追求せよ!

―大熊さんのお話をお聞きしていると、食の記憶って、いくつになっても残るものなんだな、と感じました。
 
そうかもしれませんね。香川県は「食の街」だと思います。讃岐うどんと骨付鳥っていう鉄板があるわけですが、更に旅行を楽しむには、どれだけ自分たちだけの「枝葉」を追求できるか? ですね。
 
―「枝葉」といいますと、ガイドブックにはあまり載ってない地域密着のお店を体験してみるということでしょうか?
 
そうそう! そして、立派なオリーブの木になるように、旅を育てていくっていうね。あ、いまのは、たまたま目の前にオリーブが見えたからいっただけ。ベランダに飾ってるんですよ。地元愛でいっぱいでしょ?(笑)
【取材後記】
自転車で地元を駆け回った子ども時代のエピソードから、1つひとつ絞り出すように、情景をありありと語ってくれた大熊さん。
コンパクトにまとまっている香川県ですが、大熊さんのいうように「枝葉」を追い求めようと思ったら、2日3日じゃ時間が足りない! ぜひ時間を取って、のんびりと余裕のある滞在を楽しんでいただきたいものですね。
 
【プロフィール】
大熊 啓誉(おおくま ひろたか)
香川県高松市出身。1974年生まれ。1997年、お笑いコンビ『シャカ』を結成し、バラエティ番組等で活躍。2015年、コンビ解散後はピン芸人として活動を行う。現在ではテレビ以外にも舞台の演出を手掛けている。
2011年 うどん県プロモーションPV JR四国の乗務員役で出演

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