建築女子部 東かがわ市 さぬき市

建築女子部

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新旧名建築を訪ねて ThinKniT BASE(シンクニットベース)・さぬき市野外音楽広場テアトロン
長閑な東かがわ市の田園風景の中に突如、出現した白いピラミッド!?これは一体…
実はこちら、東かがわ市の手袋メーカー・株式会社イチーナが2019年10月にオープンしたショールームなんです。
東かがわ市、といえば全国生産の90%のシェアを誇る「手袋の町」。ニットや革手袋、UV手袋、競技用スポーツ手袋など、あらゆる手袋が全国へ出荷されています。
イチーナはニット手袋の製造元として半世紀以上の歴史があり、スマホ対応手袋やレイングッズなど幅広く手掛けていますが、自社のニット技術を生かしたオリジナルブランド「ThinKniT(シンクニット)」をスタートしました。

そのショールームとなるのが、こちらの建物。「ThinKniT BASE(シンクニットベース)」。ブランド名は、ニットの価値を理解し、伝え方を考え続けていく、という意味を込めてThinkとKnitを掛け合わせた造語になっています。

四角い箱を積み重ねたような不思議なカタチ、中も天井が高くなっています。木とポリカーボネイトを組み合わせて造った近未来的なデザインは「世界の若手建築家10人」の1人に選ばれた、香川県出身の小川博央氏が手がけました。隈研吾建築都市設計事務所でも勤めた、新進気鋭の建築家です。

展示されている3Dニットランプは、リネンの糸を使って球状に編んだデザインで、独特の透け感が特徴。モダンなのに温かい光を空間に届けます。球状にニットを編むのは糸が切れやすく難しいのですが、手袋製造で培った技術を生かし、編むスピードや強さを調節することでこの形を実現しているのだそう。

このほか手袋や帽子などニット製品のほか、同じ技法で編んだニット地を使ったパネルも展示。何だか植物画のようにも見えて、和室にも洋室にも合いそうです。

イチーナの社長とスタッフの皆さんもにこやかに迎えてくれました。
「何ができよんですか?と近所の人にもよく聞かれました。遠くからわざわざ建築を見に来る人もいるんですよ」とショールームは、早くも注目の的。社長は「地域の賑わいづくりとなるような場にもしていきたい」と話していました。

(写真:株式会社イチーナ 蔵)
建物のコンセプトは「空間を編む」。糸を編むことによって生まれるニット製品のように、幾重にも交錯し、重なり合った壁が構造を支え、自然と調和して呼吸しているようでした。
(写真:株式会社イチーナ 蔵)

窓から見えるのは「虎丸山」。「ThinKniT BASE」は大内白鳥インターチェンジに近く、好アクセスながら自然豊かな場所に建っているので、四季折々の表情も楽しめそうです。

続いてさぬき市の「さぬき市野外音楽広場テアトロン」を訪ねました。
こちらは瀬戸内海を望む大串自然公園の中にあり、まるで白い石の神殿のような雰囲気。
郷土の建築家・山本忠司氏の設計です。

山本氏は香川県職員で県庁舎東館の建設時には担当職員として、戦後を代表する庁舎建築の実現に奔走し、自らも旧屋島陸上競技場や県立高松西高校などの公共建築の設計を行いました。中でも瀬戸内海歴史民俗資料館では日本建築学会賞を受賞するなど、活躍しました。
退職後は自ら事務所を立上げ設計活動を続けました。
その山本氏は1998年に亡くなりましたが、実は、元オリンピック選手という異色の経歴の持ち主。作品にもどこかスケールの大きさが感じられます。

円形のステージを取り囲むように、まるでオブジェのような石柱が配置されています。
雲を支えるように上へ上へと、伸びていくようなデザインが印象的です。

ステージに上がると、山側の斜面が見えます。音が反響してかえってくるので、自然のスピーカーといったところでしょうか。

客席も座る部分が石になっていて、まるでギリシャのコロシアムな雰囲気。
ステージの後方には、遠く瀬戸内海が見下ろせます。香川県という地を知り尽くした山本氏だからこそできた「建築と自然」の融合。いつまでも座っていたくなる野外建築でした。


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ThinKniT BASE
営業時間 10:00-17:00
定休日  土・日・祝
住所   香川県東かがわ市川東588-5
電話番号 0879-25-5511
入場無料

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さぬき市野外音楽広場テアトロン
住所   香川県さぬき市鴨庄1-20
電話番号 087-894-1114(さぬき市建設経済部商工観光課)
 

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