芸術祭だけじゃない!香川のアート 高松市

芸術祭だけじゃない!香川のアート ジョージ ナカシマ記念館

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世界的な家具デザイナーとして知られるジョージ・ナカシマの作品や、生き方、哲学などに触れられる場所が高松市牟礼町にあります。その名も「ジョージ ナカシマ記念館」。高松市中心部から車で30分ほどにあるこちらは、ジョージ・ナカシマのパートナーとして家具製作をしてきた同市の家具工房「桜製作所」により、2008年に設立されました。
中に入ると、ジョージ・ナカシマの木の彫像が迎えてくれます。
(ジョージ ナカシマ記念館 蔵)
 
ジョージ・ナカシマは1905年、日系2世としてアメリカに生まれました。ワシントン大学で森林学と建築を学び、マサチューセッツ工科大学院を卒業。その後世界一周の旅に出ます。パリで1年過ごし、中国を経由して1934年、日本の帝国ホテル建設のためフランク・ロイド・ライトとともに来日した建築家、アントニン・レーモンドの事務所に入所しました。1935年には、アントニン・レーモンド設計の軽井沢聖パウロカトリック教会と家具の設計に参加します。
その後、1941年にアメリカに帰国し、自身が最初から最後まで統合できる仕事として家具の道へと転向。シアトルの小さな工房で家具づくりを始めるも、第二次世界大戦が開戦し、日系人であったことからアイダホ州のミニドカ強制収容所へ送られてしまいます。収容所での制限された生活の中ではありましたが、ナカシマは日本で伝統技術を修得した日系大工と出会い、基本的な木工技術を身につけます。収容所から解放されたナカシマは、レーモンドのところで1年過ごした後、アメリカ・ニューホープに自分の工房を開き、家具製作を始めます。展示室ではそんなジョージ・ナカシマの系譜にも触れることができます。
1階にはナカシマの精神を受け継いだ桜製作所が、ナカシマとともに制作した家具や、オリジナル家具を置いたカフェスペースがあり、実際に触れたり座ったりしながら、木の家具のぬくもりや使い心地を体験できます。
ミュージアムショップには、桜製作所製の小物や書籍が並んでいます。
こちらはペンケース。なめらかな木肌とカーブが美しく、手になじむ感じがします。
こちらは干支シリーズ。木のぬくもりと優しさに、ほっこり。思わず手に取りたくなります。年始だけでなく、オブジェとしてもずっと飾れそうなデザイン。コレクションするのも楽しいかもれしません。
さらに、実はここにはすごい宝物があるんです。それはカフェスペースの天井部分にある、長い梁。よく見てみると、たくさんの人のサインが残されています。イサム・ノグチ、猪熊弦一郎、和田邦坊…いずれも名だたるメンバーです。
ナカシマは1963年に流政之が発起人の一人となって始まった活動「讃岐民具連」の一員としても活動しました。「讃岐民具連」は地方に伝わる民具を見直し、時代に合う形にデザインし、世界に向けて発信するというプロジェクト。発足の翌年、流の誘いで来日し、高松へやってきたナカシマは、サクラ製作所(現:桜製作所)で家具をつくり「ミングレン」と名前を付けました(右上写真:右から2番目が流、3番目がナカシマ)。
当時の金子香川県知事も発起人の一人で、ここ桜製作所をはじめ、香川の建築家や職人、デザイナーが集っていたことが伺えます。「ミングレン」シリーズは50年経った今も、ロングセラーとして多くの人に愛されています。
 
香川県に集い、新しい時代を創ろうとしていた、その息吹を「ジョージ ナカシマ記念館」で感じることができました。

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ジョージ ナカシマ記念館
休館日  日曜日・祝日・お盆・年末年始
住所   高松市牟礼町大町1132-1
電話番号 087-870-1020

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