• 山口啓介「歩く方舟」Photo: Kimito Takahashi
    山口啓介「歩く方舟」Photo: Kimito Takahashi

【第1回】2つの国際芸術祭をめぐる旅                        ~前編:瀬戸内国際芸術祭(SETOUCHI TRIENNALE 2022)~

観光パートナーシップ協定を締結している香川県と石川県。
魅力あふれるさまざまな観光コンテンツをテーマに、これから全10回にわたり、香川県と石川県が連携して両県の魅力を発信していきます!
第1回目のテーマは「芸術祭」!前編では香川県の「瀬戸内国際芸術祭」を、後編では石川県の「奥能登国際芸術祭」の魅力をご紹介します。
3年に1度開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」
  • 大巻伸嗣《Liminal Air-core-》

    大巻伸嗣《Liminal Air-core-》

3年に1度、瀬戸内海の12の島と2つの港を舞台に開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)」。2010年の第1回から「海の復権」をテーマに掲げ、アート作品と瀬戸内の島々の自然や文化、歴史を同時に体感できるイベントとして話題を集め、開催時には国内外から多くの人が足を運びます。
「瀬戸内国際芸術祭2022」秋会期が開幕!
  • 「瀬戸内国際芸術祭2022」の夏会期では、ボランティアサポーター「こえび隊」のサポートスタッフとして、女木島で活動をした小菅さん。

    「瀬戸内国際芸術祭2022」の夏会期では、ボランティアサポーター「こえび隊」のサポートスタッフとして、女木島で活動をした小菅さん。

今年は、5回目の開催年。すでに春・夏会期を無事に終え、秋会期(9月29日~11月6日)が始まっています。今回は、石川県珠洲市全域を会場として開催される「奥能登国際芸術祭」の運営に携わるチーム「サポートスズ」の新メンバー・小菅さんが、瀬戸芸のボランティアサポーター「こえび隊」のサポートスタッフとして、3日間にわたり女木島で活動した様子とともに、瀬戸芸の見どころや魅力を紹介します!
高松港からフェリーで約20分!女木島
  • 高松港を出港し、女木島と男木島という小さな2つの島を結ぶ船「めおん」。 瀬戸内ブルーの中を行く赤と白のシマシマ模様が特徴的。

    高松港を出港し、女木島と男木島という小さな2つの島を結ぶ船「めおん」。 瀬戸内ブルーの中を行く赤と白のシマシマ模様が特徴的。

  • 女木島の海岸沿いに並ぶ石垣「オオテ」。作品があるスポットを巡りながら、島の雰囲気を存分に満喫してみては。

    女木島の海岸沿いに並ぶ石垣「オオテ」。作品があるスポットを巡りながら、島の雰囲気を存分に満喫してみては。

面積2.62㎢、人口125人の小さな島「女木島」。1年を通して風が吹き、特に冬は「オトシ」と呼ばれる海水交じりの強風が集落に吹き付けるため、その風から家を守る石垣「オオテ」が海岸に並びます。2016年からは《女木島名画座》、2019年からは《ピンポン・シー》など、島民や来島者が利用や買い物ができる作品が増えています。特に女木島名店街は作品とお店がパワーアップしています!作品は港周辺の集落に点在しているので、歩いて巡るのがおすすめ!

注目作品1 ニコラ・ダロ《ナビゲーションルーム》
  • 「こえび隊」での小菅さんの役割は、会場でボランティアサポーターのこえびをサポートする遊撃隊。開館前に、作品に関する情報や来場者対応について丁寧に説明。今年はコロナ禍の開催ということもあり、感染症対策には十分気をつけている。

    「こえび隊」での小菅さんの役割は、会場でボランティアサポーターのこえびをサポートする遊撃隊。開館前に、作品に関する情報や来場者対応について丁寧に説明。今年はコロナ禍の開催ということもあり、感染症対策には十分気をつけている。

注目は夏会期から新たに公開された、ニコラ・ダロ《ナビゲーションルーム》。女木島東海岸にある旧海の家にあり、架空の海を渡る航路を見つけるための航海装置をテーマにした、機械仕掛けの作品が展示されています。オルゴールからは12のオリジナル曲が繰り返し流れ、それら全ての曲は天井に向かって走る長さ12mの厚紙シートに刻みこまれています。中央の遊び場のような装置はオルゴールの曲と連動して動き、航海図と3つの動くディスクが交差し、天体の動きや太陽光の減衰を表しています。

注目作品2 五所純子《リサイクルショップ複製遺跡》
  • 海に面した展示空間で、目の前には穏やかな瀬戸内海の風景が広がる。

    海に面した展示空間で、目の前には穏やかな瀬戸内海の風景が広がる。

海辺に佇む「寿荘」の2階に展示されている今年の春会期から公開された新作。島の内外から集まった物品を壁に埋め込み、文筆家でもある作家のテキストとともに展示販売しています。スプーンやフォークなどの食器類をはじめ、動物をかたどった置物、サングラスなどがランダムに配されており、まるで白い砂浜に漂流したもののようです。
注目作品3 レアンドロ・エルリッヒ《不在の存在》
  • 第1回目の2010年に公開されたレアンドロの作品。小菅さんは、来場者に作品の紹介をしながら、作家の魅力を伝えている。

    第1回目の2010年に公開されたレアンドロの作品。小菅さんは、来場者に作品の紹介をしながら、作家の魅力を伝えている。

女木小学校周辺にある空き家を改装し、「不在の可視化」をテーマにした作品2点を設置しています。建物の中央にある石庭では、誰もいないのに、誰かの息遣いや足音を感じることができます。また、空き家の一室は、茶室になっており、不思議な目の錯覚を体感することができます。レアンドロと言えば、石川県の「金沢21世紀美術館」で人気の作品の1つ、《スイミング・プール》。作家の作品を通して、香川と石川のつながりを感じることもできます。
「こえび隊」のサポートスタッフとして瀬戸芸を訪れて…
  • 1日の終わりには、瀬戸内こえびネットワーク事務所にて反省会を実施。 来場者に瀬戸芸を楽しんでもらえるよう、その日起きたことの共有や翌日の取り組みなどを共有。

    1日の終わりには、瀬戸内こえびネットワーク事務所にて反省会を実施。 来場者に瀬戸芸を楽しんでもらえるよう、その日起きたことの共有や翌日の取り組みなどを共有。

今回初めて香川県高松市を訪れた小菅さん。瀬戸芸は島を巡ってアートを楽しむというだけあって、観光客が島巡りをするのに快適な設備が整っていると感じたそうです。島を訪れた際には、地域の方々が気さくで、人とのふれあいを楽しむことができたと言います。アートを通じて地元の方とつながれるのも瀬戸芸の魅力です!
おわりに
  • 取材日に初対面となった小菅さんと今瀧さん。アートや芸術を好きな気持ちは互いに共感できるもの。にこやかに会話も弾んだようだった。

    取材日に初対面となった小菅さんと今瀧さん。アートや芸術を好きな気持ちは互いに共感できるもの。にこやかに会話も弾んだようだった。

芸術祭というイベントの運営に携わるのが初めてだったという小菅さんにとって、「こえび隊」のサポートスタッフとして過ごした5日間は、すべてが学びに繋がったそう。来年開催される「奥能登国際芸術祭2023」では、今回の学びを生かすとともに、訪れた人には珠洲市の魅力を知ってもらいたいと、力強く話してくれました!

 

次回は、小菅さんが「奥能登国際芸術祭」の魅力をナビゲート!

2つの国際芸術祭をめぐる旅~後編:奥能登国際芸術祭(ART Oku Noto 2022)~をお楽しみに!

 

 

<プロフィール>

小菅杏樹(こすが・あんじゅ)さん
奈良県出身。2021年開催の「奥能登国際芸術祭2020+」に感銘をうけて2022年5月に珠洲市へ移住。「奥能登国際芸術祭2017」の開催をきっかけに結成された「サポートスズ」のスタッフに加わり、作品メンテナンス、作家の対応、作品案内、パンフレット等のデザインの仕事に携わる。
 
<プロフィール>
今瀧哲之(いまたき・てつゆき)さん
香川県出身。香川県庁職員で、「瀬戸内国際芸術祭」を立ち上げから担当。もともとはアートに興味がなかったが、今では大のアート好き。珠洲市へは「奥能登国際芸術祭2017」の際に訪問。
 
【イベント情報】
瀬戸内国際芸術祭2022 <秋会期>
期 間:2022年9月29日(木)~11月6日(日)
会 場:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港、宇野港
   (秋会期のみ)本島、高見島、粟島、伊吹島
問合せ:瀬戸内国際芸術祭総合案内所 087-813-2244
≫瀬戸内国際芸術祭公式HP

奥能登国際芸術祭2023
期 間:2023年9月2日(土)~10月22日(日)
≫奥能登国際芸術祭公式HP

関連記事
≫2つの国際芸術祭をめぐる旅~後編:奥能登国際芸術祭(ART Oku-Noto 2022)~
≫石川県の記事(ほっと石川旅ネット)
 

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