待ち合わせは「さいはてのキャバレー」で
香川県から石川県珠洲市を訪れた今瀧さんを、珠洲市在住・サポートスズの小菅さんが「奥能登国際芸術祭」の常設作品を特別公開する「ART Oku-Noto 2022秋」(終了:9月17日~19日開催)へとご案内! 芸術祭・特別公開の期間以外も、常設の全18作品は10名以上の予約で屋内作品も鑑賞でき、予約なしでも楽しめる屋外作品もあるので、ぜひ奥能登の旅の参考にしてください。
小菅さんは8月末に「瀬戸内国際芸術祭」に「こえび隊」のサポートスタッフとして参加し、その際に出会った今瀧さんとは約1ヶ月ぶりの再会。待ち合わせの「さいはてのキャバレー」は、珠洲市と佐渡市を結ぶ定期船の待合室があった場所です。
定期船は1978年に廃止されましたが、「奥能登国際芸術祭2017」を機に19世紀末にパリで産声をあげたキャバレーのように、住民・旅行者・芸術家が集い、最先端の文化芸術を楽しみ交流する場所を目指して生まれ変わりました。2017年の芸術祭後も貸館として利用され、2020+ではインフォメーションセンター、公式グッズの販売や憩いのスペースに。
「さいはてのキャバレー」の屋外のテラスには、2020+の新作《石の卓球台第3号》が常設展示されています。卓球の名手としても名高い浅葉克己の作品で、普段も卓球台は見ることができますが、今回のような特別公開のときは、ネットやラケット、ボールも用意されているので卓球体験もできます。
浅葉克己《石の卓球台第3号》
石川県珠洲市飯田町1-1-13
小菅さんは8月末に「瀬戸内国際芸術祭」に「こえび隊」のサポートスタッフとして参加し、その際に出会った今瀧さんとは約1ヶ月ぶりの再会。待ち合わせの「さいはてのキャバレー」は、珠洲市と佐渡市を結ぶ定期船の待合室があった場所です。
定期船は1978年に廃止されましたが、「奥能登国際芸術祭2017」を機に19世紀末にパリで産声をあげたキャバレーのように、住民・旅行者・芸術家が集い、最先端の文化芸術を楽しみ交流する場所を目指して生まれ変わりました。2017年の芸術祭後も貸館として利用され、2020+ではインフォメーションセンター、公式グッズの販売や憩いのスペースに。
「さいはてのキャバレー」の屋外のテラスには、2020+の新作《石の卓球台第3号》が常設展示されています。卓球の名手としても名高い浅葉克己の作品で、普段も卓球台は見ることができますが、今回のような特別公開のときは、ネットやラケット、ボールも用意されているので卓球体験もできます。
浅葉克己《石の卓球台第3号》
石川県珠洲市飯田町1-1-13
民具とアートが融合した「スズ・シアター・ミュージアム 光の方舟」へ
「スズ・シアター・ミュージアム」は、「奥能登国際芸術祭2020+」で誕生した日本海を見下ろす場所にある目玉作品。2016年に閉校した小学校の体育館を改修し、市民総参加型プロジェクト「珠洲の大蔵ざらえ」で珠洲市内の家々に眠っていた生活用具の数々が一堂に集められました。それらが民俗・人類学的視点から展示紹介されるとともに、気鋭の8組のアーティストたちの手で珠洲の歴史や風景、風土などをテーマとした作品として新たな命が吹き込まれました。
スズ・シアター・ミュージアム
石川県珠洲市大谷町2-47(旧珠洲市立西部小学校)
一般800円/大学生600円/小中学生400円
※会期外は10名以上の事前申込で鑑賞可
スズ・シアター・ミュージアム
石川県珠洲市大谷町2-47(旧珠洲市立西部小学校)
一般800円/大学生600円/小中学生400円
※会期外は10名以上の事前申込で鑑賞可
塩田の歴史と記憶を作品にした「時を運ぶ船」
「塩田(しおた)千春さんの塩田(えんでん)をモチーフにした作品です。ここ、大谷エリアに広がる塩田に自らのルーツとの関わりを感じ、外浦沿岸を望む旧保育所を作品の場所に選んだそうです」と小菅さん。「奥能登国際芸術祭2017」からの人気作品で、塩田に敷きつめる砂を運ぶために使った砂取舟から、空間いっぱいに赤い糸を張り巡らせ、塩づくりの技術を今に守り伝えてきた人びとの歴史と記憶を紡いでいます。珠洲の揚浜式塩田は何度か消滅の危機に瀕しながらも、日本で唯一、古代から連綿と続く伝統的な製塩法です。
石川県珠洲市清水町4-41(旧清水保育所)
※会期外は10名以上の事前申込で鑑賞可
廃線跡のメッセージ「Something Else is Possible/なにか他にできる」
奥能登国際芸術祭2017の後は常設作品となり、今や珠洲の風景の一部になったトビアス・レーベルガーのカラフルな作品。虹色のグラデーションを描き、うねるような四角形のフレームの中を鑑賞者が進むと、双眼鏡が設置されています。レンズを覗くと「のと鉄道」の終点だった旧蛸島駅の先に作家からのメッセージ「Something Else is Possible(なにか他にできる)」の看板が見え、道路を挟んだ先の線路跡を歩いて近くまで行くこともできます。
石川県珠洲市正院町(旧蛸島駅周辺)
おわりに
「奥能登国際芸術祭」の常設展示を巡るアート満喫の旅はこれにて終了! みなさんの奥能登の旅の参考になると幸いです。あわせて開催中の「瀬戸内国際芸術祭2022」、来年開催の「奥能登国際芸術祭2023」も、ぜひお楽しみください!
<プロフィール>
小菅杏樹(こすが・あんじゅ)さん
奈良県出身。2021年開催の「奥能登国際芸術祭2020+」に感銘をうけて2022年5月に珠洲市へ移住。「奥能登国際芸術祭2017」の開催をきっかけに結成された「サポートスズ」のスタッフに加わり、作品メンテナンス、作家の対応、作品案内、パンフレット等のデザインの仕事に携わる。
<プロフィール>
今瀧哲之(いまたき・てつゆき)さん
香川県出身。香川県庁職員で、「瀬戸内国際芸術祭」を立ち上げから担当。もともとはアートに興味がなかったが、今では大のアート好き。珠洲市へは「奥能登国際芸術祭2017」の際に訪問。
【イベント情報】
瀬戸内国際芸術祭2022 <秋会期>
期 間:2022年9月29日(木)~11月6日(日)
会 場:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港、宇野港
(秋会期のみ)本島、高見島、粟島、伊吹島
問合せ:瀬戸内国際芸術祭総合案内所 087-813-2244
≫瀬戸内国際芸術祭公式HP
奥能登国際芸術祭2023
期 間:2023年9月2日(土)~10月22日(日)
≫奥能登国際芸術祭公式HP
関連記事
≫2つの国際芸術祭をめぐる旅~前編:瀬戸内国際芸術祭(SETOUCHI TRIENNALE 2022)~
≫石川県の記事(ほっと石川旅ネット)
≫瀬戸内国際芸術祭公式HP
奥能登国際芸術祭2023
期 間:2023年9月2日(土)~10月22日(日)
≫奥能登国際芸術祭公式HP
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