思い出もっと、 とっておき体験 さぬき市

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四国4県に点在する弘法大師・空海ゆかりの八十八ヶ所の霊場を巡る四国遍路。一度は巡ってみたいけど少しハードルの高いお遍路を気軽に体験できるのが、香川県さぬき市の「源内の里deお遍路体験」。衣装や道具の貸出はもちろん、参拝時の作法もていねいに教えてくれるので初めての人でも安心です。またさぬき市志度は江戸の奇才・平賀源内の生まれ育った町。源内さんゆかりの場所も一緒に巡ってきました。
ツアーの出発地は源内さんの足跡が学べる「平賀源内記念館」。こちらでお遍路さんの衣装に着替えます。平賀源内記念館へは、ことでん志度駅から徒歩約5分、JR志度駅からは徒歩約10分。車だと高松自動車道の志度ICから約10分で到着します。
受付で遍路用品一式を受け取ったら、参拝を案内していただく先達(せんだつ)さんから教えていただきながら衣装を身につけていきます。まず洋服の上に白衣(びゃくえ)を着て、肩から参拝に必要なグッズが入った「頭陀袋(ずだぶくろ)」というカバンをかけます。首から下げるのは輪袈娑(わげさ)。お坊さんが着ける袈裟の略式のもので、衣装の一番上に着けるようにします。
数珠(念珠)は左手に持ちます。歩く時は落とさないよう手首に巻き付けておきましょう。
こちらは弘法大師の分身とも言われる金剛杖。杖の頭部には五輪部が刻まれていて、直接手で触れないよう布でカバーされています。杖を持つ時はこの布カバーの下側を持ちましょう。また金剛杖は橋の上ではついてはいけません。これは弘法大師が「橋の下で眠っているかもしれないので、杖をつくと眠りの邪魔になってしまう」という言い伝えに由来しています。
菅笠(すげがさ)は、笠から出ている左右の耳ひもに、あごひもを結んで固定。梵字(ぼんじ)が書かれている側を正面にしてかぶります。
出発前にお寺に奉納する「納め札(おさめふだ)」に、今日の日付、自分の住所、願い事、氏名、年齢を記入しておきます。年齢は「数え年」なので実年齢プラス1歳、願い事は裏に書いてもOKです。本堂と大師堂にそれぞれ1枚ずつ奉納するため、2枚書きましょう。
 
準備ができたのでいよいよ出発。黄色いジャンパーを着ている方は、お遍路体験を主催されている「志度まちぶら探検隊」の岡さん。志度の町並みや見どころについて教えていただきます。
記念館前から「源内通り」を歩いて志度寺へ向かいます。今回は訪れませんでしたが、通り沿いには源内さんの生家「平賀源内旧邸」もあるそう。
こちらは立派な「うだつ(隣家との境につける防火壁)」のある「川内邸」。かつて水運の要所だった志度の町中には、このような商家のお屋敷が数多く残されています。
「源内通り」のあちらこちらには、源内さんに関する知識を学べる「そうだったのか!? 源内さん」という町歩き看板が設置されていました。看板にはQRコードが付いていて、読み取るとより詳しい内容が書かれたHPを閲覧することができます。17個ある看板を全部見つければあなたも源内さん通に。
ゆっくり歩いて10分ほどで第86番札所の「志度寺」に到着しました。創建はなんと625年! 1,400年近く続く古いお寺です。こちらで一礼して山門
山門の奥に見える五重塔は、地元出身の実業家1人の寄進で建てられたと聞いてびっくり。
山門で睨みを効かせている迫力たっぷりの仁王像は県指定の重要文化財。東大寺の仁王像を作った鎌倉時代の仏師・運慶の作と言われています。
山門をくぐる前に山門の正面と門番である左右の仁王像にそれぞれ一礼。
山門の敷居は踏まずにまたぐのがマナー。右足から入りましょう。また境内は左側通行です。
境内に入ったら、まず手水舎(ちょうずしゃ)で手と口を清めます。最初に右手でひしゃくを持ち、水を汲み左手にかけ、ひしゃくを持ち替えて右手を洗います。もう一度右手に持ち替えて洗った左手に水をため、その水で口をすすぎます。最後はひしゃくを両手で持って立てるように傾けて残った水で柄の部分を洗い流し、元の場所に戻します。
訪れた時は紅葉の終盤で、色づいた木々が境内を彩っていました。
 
こちらが志度寺の本堂。徳川家の親戚である高松藩の初代藩主・松平頼重公が建立したため、三つ葉葵の紋入り幕が掛けられています。
参拝の前に金剛杖は杖立てに立てておきます。お参りの際、帽子などのかぶりものは取りますが、菅笠はかぶったままでOK。
ロウソク1本、線香3本を上げます。ロウソクと線香、ライターは頭陀袋に入っています。火はもらい火せずに自分のライターで点けましょう。また後からの参拝者への心づかいとして、ロウソクは上段から順に、線香は中央から立てるようにします。
用意しておいた納め札を納札箱に納めます。
お賽銭を納めて合掌、頭陀袋に入っている教本を手に持って読経します。この時に立つ場所は、他の参拝者の邪魔にならないよう本堂の正面を避け左右どちらかの脇へ。数珠を手にかけ、合掌し、三礼します。読経を終えたら願い事をし、数珠をすって合掌、三礼したら参拝は完了です。
 
本堂に続いて、右隣にある弘法大師を奉った大師堂へ。こちらでも本堂と同じ手順で参拝します。
全ての参拝が終わったので、境内にある見どころを回ります。こちらは「海女の墓」。志度には、大化の改新を成し遂げた藤原鎌足の息子・藤原不比等のために、海女が竜神から命がけで宝玉を取り戻したという「海女の玉取り伝説」が伝わっていて、ここにはその海女が葬られています。
境内にある薬師堂の屋根瓦には、竜神と対峙する海女の姿が描かれていました。このモチーフの屋根瓦は、町中の古い家によく使われているそう。
ここで志度寺の境内からは退出。退出時にも山門で一礼し、出た後も一礼するのを忘れないようにしましょう。山門を出る時は入る時と逆の左足からです。
山門を出たら、向かって左側にある自性院常楽寺 (じしょういんじょうらくじ)へ。
 
このお寺は平賀家の菩提寺。境内には源内さんのお墓があるのでお参りさせていただきました。
「平賀源内記念館」まで戻って着替えを済ませました。ここからは記念館の近藤さんに館内を案内していただきます。
館内の展示は、源内さんがその生涯で訪れた「志度・高松」「長崎」「伊豆・秩父・秋田」「江戸」の四つの地域に分かれていて、その足跡を辿りながら各地での活躍や業績を学べるようになっています。源内さんと言えばエレキテルが有名ですが、薬草学、陶芸、絵画、鉱山開発、発明等、様々な方面に才能を発揮していたことに驚かされました。※館内は撮影不可ですが、取材のために許可をいただいています。
入口には源内さんの胸像がありました。像は肖像画だけでなく、文献も参考に作られているそうで、文献に書かれていた目元のほくろまで再現しています。
 
館内奥では10分間の映像で源内さんの一生を紹介する「源内奇才劇場」が上映されていました。
もちろんエレキテルも展示されています。右側は志度の平賀家に伝わる実物、左側は東京に現存するエレキテルのレプリカです。表面の装飾や内部構造もそれぞれ違うのが興味深いですね。また東京のエレキテルの花柄模様は、源内さんが自らデザインしたのだそう。
こちらはエレキテルの体験コーナー。ハンドルを回すと内部に静電気がたまり、蛍光灯を近づけると一瞬光ります。
ミュージアムショップでは、源内さんグッズも色々販売しています。ポップなエレキテルの図柄がキュート!
最後にツアーのお土産をいただきました。ひとつは「初めてのお遍路マニュアル」。今日教えていただいたお遍路の作法が詳しく説明されています。
もうひとつは源内焼きの箸置き。写真はナスですが、種類はランダムに変わるそうなので、何がもらえるかはお楽しみです。
 
プチお遍路体験と源内さんゆかりの町はいかがだったでしょうか。他にも色々と見どころのある志度の町をぜひ訪れてみてください。
 
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源内の里deお遍路体験
受付時間 10:00~14:00(16:30までに衣装を返却)
定休日  月曜日(祝日・振替休日の場合はその翌日)、12/29-1/1
電話番号 090-8970-9352(志度まちぶら探検隊事務局・担当/岡)
http://www.shido-machibura1.sakura.ne.jp/ohenro.html
 
料金        大人2,500円、高校・大学生2,300円、小・中学生・幼児2,000円(平賀源内記念館入館料込、平賀源内記念館で衣装を返却後、受付で1,000円返金)
所要時間 約2時間
※2日前までに要予約、最大15名まで
 
志度まちぶら探検隊
http://www.shido-machibura1.sakura.ne.jp
 
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平賀源内記念館
営業時間 9:00-17:00
定休日  月曜日(祝日・振替休日の場合はその翌日)、12/29-1/1
住所   香川県さぬき市志度587-1
電話番号 087-894-1684
https://hiragagennai.com
 
入館料     一般500円、大学・高校生400円、小・中学生250円
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第86番札所 補陀洛山 志度寺(ふだらくさん しどじ)
住所   香川県さぬき市志度1102
電話番号 087-894-0086
https://88shikokuhenro.jp/86shidoji/
 

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