ほっとくつろぐ温泉時間
朝一番の湯を楽しみに塩江へ向かうと、山々から立ち込める朝靄と川から立ちのぼる水蒸気で、秘境感が漂っていました。塩江町は市街地より気温が2~3度低く、朝晩はかなり冷え込みます。
「行基橋」を渡ると温泉の入り口。昔ながらの木造の橋で、表面が朝露でしっとりと濡れています。ちょっとドキドキしながら渡ります。
純和風の入口。午前9時からの営業時間には暖簾がかかっています。平日の朝一番、まだ誰もいないかと思いきや…
男湯には、温泉を楽しむ先客が数名、のんびりとお湯に浸かっていました。
お話を伺うと、さぬき市から週3回は通っているという常連さんや、中にはほぼ毎日という人も。「ここのお湯はようあったまる」「一ヵ月くらい通ったら腰痛が治ったんや」と、ファンが多いようです。男湯と女湯は隔月で変わり、それぞれ低温サウナと露天風呂があります。
こちらは明るい川側の露天風呂。川のせせらぎが聴こえてきます。もう一つは山側にあり、緑の映えるしっとりした雰囲気でした。
お湯に手をつけてみると、水がやわらかい感じ。温泉の泉質はアルカリ性低張性冷鉱泉で、無色無臭。何だか肌がしっとりすべすべになった感じがしました。
こちらは女湯。天井や壁が総ヒノキなので、ほんのりと木の香りが漂います。湯舟に浸かって深呼吸すると、心も体もほどけていきます。
四季を通じてたくさんの人が訪れる「行基の湯」。スタッフの方は「冬、寒いなか浸かる温泉は格別ですし、春は桜、秋は紅葉が楽しめます。夏場は川遊びを楽しむ家族連れで特に賑わいます」と教えてくれました。
うるめイワシと昆布の出汁に、鶏肉から出る旨みが加わった醤油ベースのスープは、ほんのり甘いのにまずびっくり。どこか懐かしいこの味は…なるほど、と納得。
初めての場合はまず、そのまま味わってから好みでトッピングを追加していくのがおすすめ。トッピングは小皿で豆板醤、にんにく、キムチ(+30円)の3種類。順番に入れてみると、豆板醤は辛味が加わってすっきり、にんにくはコクと深みが増す感じ。キムチはその両方が楽しめて、なお白菜のシャキシャキが加わり、おかわりしたくなる美味しさです。通になると「にんにく入りで」とオーダーすれば、スープに混ぜて持って来てくれます。
麺は細めのストレート。ふわふわの卵がからんで、やさしい味わい。口コミで評判となり、遠方からわざわざ食べに来る人も多く、麺とスープが切れたら終了になります。食べた後、口の中に旨みが残る感じが心地よく、何度も食べたくなります。
中華そばのほかにも、朝から手づくりするお寿司やおでんもあります。金時豆が入った讃岐ならではのお寿司は、柚子の風味がふんわりと効いて「親子中華そば」に合います。テイクアウトもできるので、お弁当替わりに購入する人も多く、地元民に愛されるグルメです。
行基の湯の手前には道の駅しおのえがあり、地元の新鮮な食材や、町内の牧場の牛乳を使ったソフトクリームなどもあります。また、塩江温泉郷には、温泉付きのホテルや旅館も点在しているので、豊かな山の幸に舌鼓を打ちながら、里山の自然の中でゆっくりくつろぎたい方には、宿泊もおすすめです。
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塩江温泉郷 行基の湯
営業時間 9:00-21:00(最終受付20:30)
定休日 第1・3火(祝日の場合は翌日)
住所 香川県高松市塩江町安原上東37-1
電話番号 087-893-1126
入浴料 大人520円・60歳以上400円・小人260円
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いこい食堂
営業時間 9:00-16:00(麺・出汁がなくなり次第閉店)
定休日 木
住所 香川県高松市塩江町安原上東95-8
電話番号 087-893-0513